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Khó khăn của sinh viên việt nam khi đọc văn bản thuyết minh tiếng nhật tường hợp sinh viên năm 2 và năm 3 khoa nhật bản học, đại học khoa học xã hội nhân văn tp hồ chí minh

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はじめに 筆者は大学の日本学部の学習者から、2 年生になり中級レベルに入ると、読むことが難しくなり、困っているという声を多く聞いた。また、筆者が 2 年生の読解授業(メインテキストはスリーエーネットワーク『みんなの日本語シリーズ初級 II-初級で読めるトピック 25』、 たつもりでも、実際には充分理解していないという状況があることが観察された。 そこで筆者は、読解上の問

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〔キーワード〕読解、問題点、ベトナム人中級学習者、アンケート調査、発話調査

1 はじめに

筆者は大学の日本学部の学習者から、2 年生になり中級レベルに入ると、読むことが難しくなり、困っているという声を多く聞いた。また、筆者が 2 年生の読解授業(メインテキストはスリーエーネットワーク『みんなの日本語シリーズ初級 II-初級で読めるトピック 25』、

たつもりでも、実際には充分理解していないという状況があることが観察された。

そこで筆者は、読解上の問題点について 2 年生(約 720 時間学習)と 3 年生(約 1080 時間学習)を対象とした自由記述型の調査と、3 年生の読解授業(メインテキストはスリーエー

査を行った。その結果、学習者の自由記述からは学年を問わず、語彙、文法、漢字に関する問題についての記述が多く観察された。一方、3 年生の読解授業の担当教師へのインタビュ

体的でわかりやすい情報を捉えるだけで、文章全体の意味が把握できない」という正反対の意見が出された。

1 つ目の調査で、学習者は自分の読解が困難な理由は言語知識に関するものだと考えていることがわかった。しかし、筆者の授業では、文章中の単語の意味を与えたり文型を説明したりしても文章の内容を正しく理解できていないケースも尐なくなかった。2 つ目の調査で

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は、教師も学習者が中級レベルの読解のどのようなところに問題があるのか、明確に把握できていないことがわかった。学習者の読解力を伸ばすためには、何らかの授業改善を行う必要があると思われるが、そのためには、まず、中級レベルの学習者が、読解でどのようなところに引っかかるのか、実態調査で明らかにする必要があると思われる。

2 先行研究

読解が困難である原因には、どのようなものが考えられるのであろうか。これまで第 2 言語学習者の読解上の問題について様々な研究がなされてきた。

英語教育では、飯島(2003、2004)が日本語を母語とする英語学習者を対象としたアンケート調査を行った。得られたデータについて因子分析を行った結果、英語論説文の読解阻害要因は「テクスト情報統合因子」「学習意欲因子」「スキーマ活用因子」「抽象度因子」「情意因子」という 5 つのカテゴリに分けられた。また、飯島(2006)は飯島(2004)と同様の調査票を用いて、1 年生と 4 年生の大学生 359 名を対象とした調査を行った。得られたデータ

(背景知識の有無・利用)「ボトムアップ処理因子」(情報統合能力の基礎となる因子)「動機づけ因子」(学習意欲や動機づけ)という 4 つの因子に絞られた。

日本語教育では舘岡(2005)が様々な研究成果を重ねた結果、日本語学習者にとっての読解上の問題点を「自動認識スキル」「語彙・文型知識」「談話構成知識」「内容・世界背景知識」

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3 研究課題

上述した研究背景に基づき、本研究では、本学の中級の日本語学習者はどのような読解上の問題を有しているのか、調査を行うこととした。この問題について探求するために、以下の研究課題を設定した。

①学習者は、日本語の説明文を読む際の自分の問題をどのように意識しているか。

②学習者が日本語の説明文を読む過程では、実際にどのような具体的な問題が生じるか。 この問題は、先行研究でまとめた 5 つのカテゴリで検討する。また、本研究では、学習者のニーズ(在学中に専門科目の参考書を読んだり、卒業後に企業の資料を読んだりする必要があること)を考慮し、対象とする読解文のジャンルを説明文とした。

4 研究方法

4.1 これまでなされてきた研究方法

これまでなされてきた第 2 言語学習者の読解上の問題点の実態調査の研究は主に 2 つの方法がある。1 つ目はアンケート調査の方法である。小宮(1996)は 31 名の経済学部の日本語学習者を対象にして、読解上の問題点と学習者が解決するために使ったストラテジーを明らかにするための方法の一つとしてアンケート調査を用いた。小宮の質問票は 15 問あり、語彙、

島(2003、2004)は日本人 EFL 学習者の読解阻害要因についての調査票を開発した。この調査票は 33 項目からなる 5 段階尺度形式である。飯島(2006)は同様の調査票を使って、調査

そこで、Think-aloud 法以外の発話を用いる調査方法として、ピア・リーディングの効果を検討した研究を参考にした。これらは元々は本研究の目的と違って、ピア活動に焦点をあてている研究だが、収集された発話データにはパートナーと自由に話す中で不明な点を確認する様子が多く観察されている。例えば、高崎 (2004)ではタイの大学で日本語を学ぶ中級日本語学習者 12 名を対象に行ったピア・チュータリングの調査の中で、2 人の学習者が不明な点について話したり、自身が理解した内容を相手に説明したりする例が観察されている。ま

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た、羅 (2009)は、台湾の大学で学ぶ中級日本語学習者 63 名を対象に、ピア・ラーニングの研究を行っているが、学習者の発話からは、単語、文型、修飾節、文の主語・述語、文章構造について確認する様子が多く観察された。このようにペアで話す会話では、学習者がパートナーと協力して読み進めるため、その発話ややりとりの記録をとることで、学習者が理解できていないところが必然的に明らかとなる。また、この方法は上述の Think-aloud 法と比べ、本学の学習者にも取り組みやすいと考えられる。そこで本研究では、ペアで文章を読み進める課題及び文章内容をまとめる課題を与え、その際の発話を分析することで読解上の問題を調べることとした。

4.2 本研究の研究方法の概要

4.2.1 アンケート調査

(1) 調査票:27 項目、5 段階尺度形式である(添付資料 1 を参照)。

調査票の質問は、因子分析で抽出された飯島(2006)の質問項目と飯島(2006)にはないが日本語学習者にとっては影響があると考えられる飯島(2003)の項目、小宮(1996)の項目を整理した項目及び筆者が行った予備調査の自由記述から作成した項目が含まれている。(2) 対象者:対象者の学年及び習熟度は以下のとおりである。

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験 N4

未 受

験 N4

未 受

験 N3

未 受

験 N3 N3 N2

N3 N3 N3 N2

N3,N2 不

合 格

不 合 格 トップダ

ウン読み 握手 握手 江戸 江戸 他人 他人

フリー スクール

フリー スクール ボトムア

ップ読み 江戸 江戸 握手 握手

フリー スクール

フリー スクール 他人 他人

(3) データの取集方法

1) 2 つの読み方について

以下に記述するように、同じペアにボトムアップの読みを促す手順とトップダウンの読みを促す手順を 1 回ずつ行うこととした。ボトムアップ処理の読み方をした場合、語彙、文、段落などの理解に関わる問題が、またトップダウン処理の読み方をした場合、文章全体の理解、背景知識の使用などに関わる問題が表れるのではないかと予測した。

2) 手順(回答シートは添付資料 3.1、3.2 を参照)

2-1)トップダウンの読み方を促す読みの手順

①学習者はタイトルを読んで思いついたこと、連想したこと、このタイトルの文章の内容について推測できることを 5~6 分で回答シートに箇条書きで書く。使用言語はベトナム語でも日本語でもかまわない。書き終わった回答シートはすぐに回収する。

②学習者は各自、辞書を使わずに、15 分で文章を読み、ベトナム語で「『話題』(文章によって異なる)についてわかったことをこの文章を読んでいない人のためにわかりやすく、詳しく(図、表、箇条書きなど)まとめてください」という課題に取り組む。

③ペアになり、各自が書いた個人の回答とその理由や根拠を説明してから、ペアの回答を出すために話し合う。この段階で辞書を引いてもよい。時間制限はない。また、2人の意見が異なり、調整しきれなかった場合、それぞれの意見を併記する。

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④読んだ文章の内容や構成についての感想を話す。

2-2)ボトムアップの読み方を促す読みの手順

①学習者は 1 文ずつ交代で音読する。1 文を音読した後、文の内容について、1 人ずつ自分の解釈と考えを言って確認しながら読み進める。時間制限はない。

②1 つの段落を読んだ後、その段落に書かれていた内容について、1 人ずつ自分の解釈と考えを言ってから、相談して回答シートにまとめる。

③最後まで読み終わったら、トップダウン処理の読み方の調査と同様の課題に取り組み、ベトナム語で一つの回答シートにまとめる。辞書が必要な場合は使ってもよい。

④読んだ文章の内容や構成についての感想を話す。

3) データ

分析に用いたのは、上記の手順で読解を行う最中の発話であった。まず、発話をすべてを文字化した後、トップダウンの読みを促す読み(以下、TD)では、各自で作成した回答を 2

ボトムアップの読みを促す読み(以下、BU)では、1 文ずつ自分の解釈と考えを言って確認している部分、および各段落の内容や全体の内容をまとめるために、各自の解釈を述べている部分から、学習者がまちがった理解をしたり混乱したりしていることがわかる箇所や、理解できなかったところを相手に確認している箇所を分析対象のデータとした。

5 調査結果

5.1 学習者が意識している読解の問題点

収集されたデータについて、各質問項目の平均値と標準偏差を算出した(添付資料 4 を参照)。質問紙調査では、「1:全く当てはまらない」、「2:ほとんど当てはまらない」、「3: どちらかといえば当てはまる」、「4: やや当てはまる」、「5: よく当てはまる」という 5 段階尺度を用い、調査参加者には何れか 1 つを選択するよう求めた。そのため、平均値が 3.00以上の場合、その項目について「当てはまる」と意識している学習者の割合が大きく、平均

値が 3.00 未満の場合、その項目について「当てはまらない」と意識している学習者の割合が大きいという基準を立てた。

質問項目は 2.先行研究を参考に以下のように分類した。

情報統合 解読した情報をつなげて理解することに関わる問題 5、11、23、25、3、9、16、20 スキーマ活用 背景知識・文章構造知識の有無・利用に関わる問題 4、6、10、13、27

メタ認知 自らの読みの状況と読み方のコントロールに関わる問題 8、12、14、18

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5.1.1 言語知識に関連する問題点

このカテゴリでは全ての項目について、学習者が「当てはまる」と意識している割合が大きいことがわかった。このことから学習者は文・語彙レベルの処理を読解が困難である原因と意識していることがわかる。これは現場での語彙・文法知識に自信がないという学習者の声と一致している。これらの項目の中でも、「語彙力が不足」(問 1)の平均値(3.99)が特に高く、学習者は語彙力の問題を強く意識していることがわかる。また、文法に関連する項目に着目すると、「文法の知識が不足」(問 2)の平均値(3.55)より「複雑な文構造」(問 15)の平均値(3.81)のほうが高かった。このことから学習者は自身の文法知識の不足より、日本語の文の構造が複雑であることが難しさの原因であると考えていることが窺える。

5.1.2 情報統合に関連する問題点

このカテゴリの項目は言語を解読した結果を関係づけたり統合したりすることに関する項目である。学習者が読解上の問題点として「当てはまる」と意識している割合が大きい項目は、「抽象的な意味の単語」(問 9)と「抽象的内容の文」(問 25)、「書き手の意図や真意」

(問 3)であった。特に、3 年生の「書き手の意図や真意」の項目の平均値は 3.77 で、このカテゴリで最も高かった。逆に、学習者が「当てはまらない」と意識している割合が大きい項目は「文と文との相互の関係」(問 23)、「各段落の役割/段落相互の関係」(問 20)、「各段落のトピックセンテンス」(問 11)であった。

また、学年別の平均値に着目すると、「文章全体の中での重要なポイント」(問 16)は 2 年生の平均値が 3.08、3 年生の平均値が 2.89 と学年による違いが観察された。さらに、2 年生では「書き手の意図や真意」と「文章の中での全体の重要なポイント」では平均値に差が見られないが(両項目の平均値:3.08)、3 年生では「書き手の意図や真意」(3.77)は「文章の全体の重要なポイント」(2.89)より平均値が高く、区別して判断されている。このことか

一体何を伝えたいのかが難しいと感じていることがわかる。また、「代名詞の理解」(問 5)においても、2 年生の平均値が 2.83 、3 年生の平均値が 3.11 と学年による違いがみられた。このことから、3 年生は「代名詞の理解」を読解が困難である原因と意識しているが 2 年生はあまり意識していないことがわかる。

5.1.3 スキーマ活用に関連する問題点

このカテゴリの項目は文章の構造と文章の内容についての背景知識に関する項目である。学習者が「当てはまる」と意識している割合が大きい項目は、「背景知識の有無」(問 4)、「未知語の類推」(問 10)であり、学習者が「当てはまらない」と意識している割合が大きい項目は、「背景知識の利用」(問 13)、「話の展開の予測」(問 6)であった。これらのことから、学習者は文章の背景知識が無いことや、未知語の類推が難しい場合に、読解が困難であると考えていることがわかる。一方、自分が持っている背景知識をうまく利用できないことや文章

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10)は 2 年生の平均値が 3.30、3 年生の平均値が 2.87 であり、「文章の論理の展開」(問 27)

は 2 年生の平均値が 2.85、3 年生の平均値が 3.10 であった。つまり、2 年生は未知語の類推は難しいと思っているが、文章の論理の展開は難しくないと思っており、3 年生はそれと反対の意見を持っているといえる。この背景として考えられるのは、2 年生がよく出会う文章

が 3 年生のそれと比べて論理展開がより簡単で 2 年生のレベルでも理解しやすい書き方のものが多いことであろう。

5.1.4 メタ認知に関連する問題点

このカテゴリにある項目は読み過程のコントロールに関する項目である。全 4 項目のうち、

「読んできた内容を忘れている」(問 12)、「読む目的の認識」(問 14)、「自分が読んだ内容の理解度の把握」(問 18)は、学習者が「当てはまらない」と意識している割合が大きい項目であった。このことから、学習者は自分の読みをコントロールできていると思っていることがわかる。学習者は読む前に読む目的を持って読み始め、読んでいる途中に読んできた内容を振り返って確認することや、読んだ後自分の理解を正しく評価することができていると考えているようである。一方、「わからないところに遭遇したときの対応」(問 8)は、全体の平均値は 3.01 であったが、2 年生の平均値は 3.11、3 年生の平均値は 2.87 と違いがみられた。2 年生は「わからないところに遭遇したときの対応」を読解が困難である原因として意識しているが 3 年生はあまり意識していないことがわかる。

5.1.5 動機付けに関連する問題点

このカテゴリにある項目では、「集中力の持続」(問 26)以外の項目、すなわち「日本語の学習への関心」(問 17)、「文章の内容への関心」(問 19)、「書き手の意見への評価」(問 21)、

えるが、日本語学習への関心、文章の内容への関心、書き手の意見への評価、読解という作業への関心の程度は自らの読解にあまり影響を与えないと考えていることがわかる。 5.2 学習者の発話調査から見た読解の問題点

4.2.2 に述べた手順で発話データの中から拾った、学習者がパートナーに理解できないところについて確認している箇所、間違った解釈を述べる箇所で取り上げられている問題の出現数を集計し、分析した(添付資料 5 を参照)。出現数を数えるにあたっては、1)文章の 1か所に 1 種類の問題点が見られる箇所は 1 つと数える、2)文章の 1 か所に 1 種類の問題点が何回も繰り返されて出現しても 1 つと数える、3)文章の 1 か所に複数種類の問題点が見られる箇所は種類別に数えるという 3 つの基準を採用した。また、今回の調査趣旨から、問題がその後の話し合いで解決されても、内容全体の理解に大きな影響を与えなくても、それぞれ

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の読解の問題だと思われる個所を全て数えた。なお、本報告では、文字化したデータを筆者が日本語訳し、ベトナム語でのやりとり以外の原文をそのまま引用している箇所についてはカタカナで表記した。

4.2.2 でも述べたように、本研究では、読み方の違いが読解上の問題に影響を与える可能性を考慮し、TD と BU の 2 つの読み調査を行った。しかし、問題の種類及びその出現数を集計した結果、どちらの読み方をさせた場合も、問題の種類とその出現数に大きな差が見られなかった。TD では、トップダウンの読みになるように指示や課題を工夫したが、発話データそのものは、その読み方で一通り読んだ上でまとめた回答をすり合わせる段階での話し合いから取ったため、互いの回答のずれを確認するために、場合によっては、ボトムアップ的な読み方もせざるを得なくなった。そのために差が観察されなかった可能性が考えられる。 以下では取集されたデータの中で出現数が多い問題点を中心に、アンケート調査同様、先行研究からまとめた 5 つのカテゴリに沿って考察することとする。

5.2.1 言語知識に関連する問題点

発話調査でも、このカテゴリの問題の出現数が最も多かった。「単語の意味がわからない

/誤解している」「単語に多くの意味がある」「文法の意味がわからない/誤解している」

「主語がどれかわからない」「文法に多くの用法がある」「意味の切れ目はどこにあるかわからない」「漢字の読み方がわからない」「名詞修飾のある文がわからない」「文の意味順番を逆に解釈する」という種類の問題が確認できた。このうち、「単語の意味がわからない

/誤解している」「単語に多くの意味がある」「文法の意味がわからない/誤解している」

「主語がどれかわからない」の出現数が多かったため詳しく述べることとする。

5.2.1.1 単語の意味がわからない/誤解している

単語に関連する問題は未知語と単語の意味の誤解が観察された。未知語については、どのペアにおいても共通して観察される単語が多かった。これらの未知語については、ほとんど辞書を引くか友達に聞くことで解決できた。また、単語の意味の誤解は、未知語と比べると出現数は尐ないが、文章全体の理解に影響を及ぼすことがわかった。その多くは「合う/合わせる」「見える/見る/見せる」「思う/思いつく」などの他動詞と自動詞、または自発動詞との間の誤解で、その結果、主語を取り違えてしまい、文章全体の理解にまで影響してしまうケースが観察された。これらは特に 2 年生に多く観察された。

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119 HN たぶん、わかるように 手をしたがる。あ

の姿をみていると 握手とは、本当に 心が通ってはいな いのに、通ってい るようにみせなけ ればならない相手 に対する行為のよ

う に も み え て く る。 (添付資料 2.1)

5.2.1.2 単語に多くの意味がある

複数の意味を持つ単語の理解についての問題も多く観察された。これらは音訓によって違う意味を持つ単語、違う助詞を組み合わせると違う意味になる単語、概念が文章の内容によって異なる意味を持つ単語などである。音訓によって違う意味を持つ単語の問題は「場」「方」

「通う」「入ります」「間」などが観察された。違う助詞を組み合わせると違う意味になる単語の問題は「以外と/以外に」「~を合わせる/と合わせる」などが観察された。否定と肯定の意味を持つ単語の問題は「特別」などが観察された。このような複数の意味を有する単語については、学習者が 1 つの意味しか知らないなどの言語知識の不足が原因と考えられるが、その他にも情報統合の能力も関与していると考えられる。複数の意味がある単語の意味を正しく選択するためには、その前後の内容との関連性を正しく理解する必要があるためである。以下では、出現数が最も多かった音訓によって違う意味を持つ単語の例を示す。

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や「~にもかかわらず」のような未習文法と「~は~より~」や「~ようにする」のような既習であるがまだ充分習得できていない文法についての問題があることがわかった。

5.2.1.4 主語がどれかわからない

主語が明示的に示されていない文、名詞修飾を含む文、「~のは~」の文において主語を理解できないという問題が観察された。また、5.2.1.1 に挙げたように、他動詞と自動詞と自発動詞の間違いから、主語がわからなくなることも観察された。

例 4: GD-AT (BU・2 年生)

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94 GD

オクサン…ある日、右手に石鹸がついていた…ある日、彼(筆者)の右手はせっ

けんがついていた

私が下宿していた家の奥さん は、ある日私が家に帰った時洗 濯でもしていたらしく、右手は せっけんがたくさんついてい た。彼女は急いで手の甲をふい て右手の甲を差し出した。

例 6: HN-MT(BU・2 年生)

178 MT しかし…働ければ働くほど…ハタライテモ…働ければ働くほど しかし、いくら働いても暮らせないほどで

はなかった。そば屋でそばを食べることも できたし、酒を買って飲むこともできた。

179 HN あまりもらわない

180 MT クラス…ソバヤデソバヲタベル…食べものがない?

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181 HN ソバ それに、何よりも労働時間は今よりずっと

尐なかった。 (添付資料 2.1)

182 MT 食べ物がない…酒を買って飲む…なんかおかしいよ

学習者は、「~ほどではなかった」が理解できておらず、「働いてももらわない」と解釈している。そして、「そば屋でそばを食べることもできたし、酒を買って飲むこともできた。」

代名詞が指すものを理解できないケースは情報統合のカテゴリで 2 番目多かった。また、代名詞が何を指すか把握しようとする様子は、2 年生よりも 3 年生に多く観察された。以下に具体的な例を示す。

21 行、p.63:1~5 行)

584 BA ソコ…ソコは「ここ」…いいえ、ソコはソコ…何を指したと聞いたよ

585 P うん、ソコニハはオウベノバアイ?書こうよ…どう思う?

「そこには」の「そこ」は文中に具体的に指し示す名詞がないので、学習者は混乱していた。

1 つ目の「そこ」を日本のフリースクールであると理解したので、次の文の「そこ」を対比する欧米のフリースクールであると間違った解釈をしてしまった。

5.2.3 スキーマ活用に関連する問題点

する」という問題が観察された。以下では出現数が多かった「文章の論理の展開がわからない」と「背景知識が不足している/過剰使用」の例を示す。

5.2.3.1 文章の論理の展開がわからない

Trang 14

これは説明文という文章の特徴から影響を大きく受ける問題である。使用した 4 つの読み物は、何れも複数の対象を比較しながら述べる文章であった。そのうち、3 年生用の「他人」は文章構成自体が、比較的明確に区別できる構成であったためか、学習者は容易に情報を分類できた。しかし、残りの 3 つ(江戸、握手、フリースクール)は、構成や論理の展開を理解することが難しかったようである。

例 9: TR-BN(TD・3 年生)

188 TR 補習授業を受けるところ

「フリースク ール」 (p.62: 15~21 行、 p.63:1~5 行)

「ところ」「学校」「スクール」などの曖昧な言い方で表現されているため、学習者は文章の流れをしっかり把握できず、理解できなかったものと考えられる。

5.2.3.2 背景知識が不足している/過剰使用

学習者は文法や語彙が原因で間違った解釈をしたとき、参考になる背景知識がないので、違和感を持たずに最後まで読み進めてしまうことがあった。また、5.2.3.1 の問題のようにどの情報がどの対象についての記述か迷う時も、背景知識を持っていないために、解決できないことがあった。また、背景知識がないため、文章の論理の展開がわからなくなる様子もみられた。

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464 GD 権力を?

465 AT

お互いに渡す…うん、権力を…なんとか…だから…信任とかがなかったので…なかったので…(中略)そして、 下に行くと…最初は握手が契約を結ばせるためにやるとかわからなかったから、その段落を飛ばした…次はキリ スト教のところで…ここで…たぶん、手を握って、包んで…本とか映画とかで、牧師は信徒に手を差し出して… 信徒は神にわが身の罪を告白するとかあったらしく…たぶん、牧師は信徒の手を握ることは身分のシンボルで… 封建時代のところは読まなかった…そして、最後の手打ちとか手締めとかも握手と同じようなことで

466 GD 難しいね

467 AT うん

この例から学習者は「政治家」「選挙民」という単語だけを読んで、選挙や政治家につい

Trang 16

ての背景知識から「握手は信任という意味がある」と内容を推論して文章を読み進める様子が観察された。このような例は 2 年生で多く観察された。5.2.2.1 では学習者がいくつかの単語や文法を丁寧に解読しない現象が観察されたが、ここでは、TD を促したためもあってか、学習者は単語、文法などだけではなく大きい段落まで読み飛ばした。彼らが読んだのはキーワードだと思われたいくつかの単語のみであり、そしてその単語に自身の背景知識を合わせて理解しようとしていた。

5.2.4 メタ認知に関連する問題点

メタ認知に関連する問題は、「読んできた内容を忘れている」「自分の推論が矛盾していることに気づかない」であった。「読んできた内容を忘れている」は 3 年生で1回のみ観察された。また、「自分の推論が矛盾していることに気づかない」は 2 年生のみで観察された。2 年生は自分の誤解を客観的に確認することができず、間違った解釈のままとなっているケースが多かった。文章のレベルや構成から考えると 2 年生にとってそれほど複雑な文章ではなかったが、自身の理解についての振り返りができていないために、次から次へと誤った解釈をしてしまう様子が観察された。以下では「自分の推論が矛盾していることに気づかない」の例を示す。

6 考察

以上の 2 つの調査の結果を照合した結果、①学習者が意識しており、発話調査でも観察された問題、②学習者が意識していないが、発話調査で観察された問題、③アンケート調査に

6.1 学習者が意識しており、発話調査でも観察された問題

アンケート調査において学習者が「当てはまる」と意識している割合が高く、発話調査に

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おいても観察された問題についてカテゴリ別に述べる。

1 つ目は、言語知識に関する問題である。アンケート調査の結果、学年の違いにかかわらず、言語知識に関する全ての項目について学習者は「当てはまる」と意識している割合が高かった。「1 研究の背景」で述べたように、3 年生の授業担当教師からは「文章の大意はわ

情報を捉えるだけで、文章全体の意味が把握できない」という一見矛盾した意見が述べられた。しかし、これだけ語彙や文法に自信を持っていなかったり、文の中の文法を分解できていなかったりするのだとすると、かなりの部分を推測に頼って文章を読んでいる可能性が高い。その結果、語彙や文法がわからない部分は、詳しい情報が捉えられなかったり、わかりやすいところだけを拾って理解しているために全体が理解できていないことも尐なくないと

う意味を持つ単語、違う助詞を組み合わせると違う意味になる単語、否定と肯定の意味を持つ単語の問題が多いこと、「単語の意味がわからない/誤解している」は、具体的には自動

名詞のある文がわからない、という問題が多いことがわかった。

2 つ目は、スキーマ活用に関する問題である。アンケート調査の結果、学習者は背景知識を持たない場合には読解が困難となると意識していることがわかった。発話調査では、実際に背景知識がないため、文章を理解できない様子が観察された。また、間違った解釈をしてしまった場合にも、背景知識が無いために違和感を持たないまま読み進めたり、どの情報がどの対象についての記述か迷う時に確認できなかったりして、最終的に間違った解釈に至るケースが観察された。

したときの対応」について、3 年生は「当てはまらない」と意識していたが、2 年生は「当て

対応のし方」について学年による違いが観察された。3 年生は精読することで理解しようとしていたが、2 年生は背景知識を用いて解決しようとする傾向があり、文章に再び取り組もうとはあまりしていないことがわかった。

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連性の理解にも関わる。3 年生の場合、「代名詞の理解」が文章の情報の相互関係の理解に関わることを認識しているようで、代名詞が指す対象を確認する様子が多く観察された。2 年生の場合、3 年生と異なり「代名詞の理解」は文章の理解に大きく関わるものではないと考えているようである。

2 年生は「当てはまらない」と意識している割合が高かった。しかし、発話調査では、どちらの学年でも、この問題が多く観察された。この問題は文章の構成の影響を強く受ける。今回の調査で使用した文章は、異なる対象の情報を取り上げ、それらを比較しながら論じられていた。しかし、学習者は、現在読んでいる情報が何についての情報なのか、正しく整理できていなかった。

3 つ目はメタ認知に関連する項目である。アンケート調査の項目の「自分が読んだ内容の理解度の把握」ついて学習者は「当てはまらない」と意識している割合が高かった。そして、読み実態の調査後のインタビューでも、実際には誤解しているところが多く観察されたにもかかわらず、8 つのペアが全員「文章の内容が理解できた」、「いつも読んでいるものと比べると割と簡単」と自己評価をしていた。このことから学習者は自身の解釈や理解が正しいか否かを確認する意識がなく、メタ認知ができてないことがわかった。

6.3 アンケート調査に含まれていなかったが,発話調査で観察された問題

アンケート調査には含まれていなかったが発話調査から明らかとなった問題についてカテゴリ別に述べる。

1 つ目は,情報統合に関する問題である。2 年生では解釈において大事な言葉が飛ばされたり、いくつかの情報を使って情報を作ったりしている様子が観察された。

2 つ目はスキーマ活用に関する問題である。背景知識の過剰使用、先入観からの推論の 2つの問題が観察された。背景知識の過剰使用は主に 2 年生で観察された。

3 つ目は、メタ認知に関する問題である。2 年生において「自分の推論が矛盾していることに気づかない」という問題が観察された。

これらを見ると、2 年生は個々の単語や情報を丁寧に読まずに、理解しやすい単語や表現を拾って、背景知識を用いてそれらをつなげたり、推論したりすることで情報を作り、そして作った情報に矛盾があるかないかを常に確認しない様子が窺える。

7 まとめ

ベトナム人中級学習者の読解上の問題点をアンケートと実際の読み過程での発話から調査した結果、以下の 3 点が明らかになった。

1) アンケート調査で「当てはまる」と判断した学習者が多かった問題点は実際の発話調査でも数多く具体的な例が観察された。例えば、言語知識に関連する問題では、学習

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者が自動詞・他動詞・自発動詞の区別ができなかったり、名詞修飾などを含む複雑な文であったりする場合に、主語がわからなくなることがあるケースがである。これらは特に 2 年生に多く観察された。スキーマ活用に関する問題では、背景知識が無いため、自分の推論が矛盾していることに気付かないという例があった。メタ認知に関する問題では、わからないところに遭遇したときに 2 年生は背景知識を用いて解決しようとする一方、3 年生は精読によって問題を解決しようとするという例があった。 2) アンケート調査の結果では学習者があまり意識していないと思われるのに、実際の発話調査では観察された問題点としては、代名詞の理解ができないという情報統合に関連する問題と文章の論理の展開が理解できないというスキーマ活用に関連する問題、そして、自身の内容理解度の把握というメタ認知に関する問題があった。代名詞の理解と文章の論理の展開の理解についての意識と実態の差は、2 年生では大きかった。 3) さらに、アンケート調査の項目には含まれていなかったが、発話調査のおいて、2 年生

年生は自分の推論を確認しない、また、わからないところがあると、そこを飛ばして解釈してしまったり、わかる単語と単語をつなげて自分で文を作ってしまったりすることがわかった。

これらのことから、以下のような教育的示唆が得られた。1 つ目は読解を指導する時、文を丁寧に読むために、文を分解して理解させるような練習も大事であるということである。2つ目は、学習者に文章の情報のつながり、文章の構造などに注意を向けさせることである。

考えられる。3 つ目は、低学年の学習者は早い段階から自分の解釈を前後と照合しながら読み進める習慣をつけさせ、読み飛ばして読んだり、背景知識に依存しすぎたりしないように指導することである。

今回の調査では、アンケート調査と発話調査という 2 つの手法を用いて、これまで明らかではなかった学習者の読解上の問題点について具体的な内容を把握することができた。しかし、アンケート調査で質問項目として扱った「抽象的な意味の単語」「抽象的な内容の文」「書

物、学習者の個性、調査の手順の影響を強く受けたためか,発話調査では観察されなかった。また,学年の差が生じる原因と,それらが理解にどの程度影響を与えるかという問題も残されている。これらの問題の解明は今後取り組んでいく必要があると考えている。また、本研究の結果から、いくつかの読解指導のための示唆を得た。これから、その示唆を活かした読解の授業をデザインし、それらを試行しながら、今回見られた問題点がどの程度どのように解消されていくか、観察していくことで、さらなる読解授業の改善に取り組んでいきたいと

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(2) 産能短期大学(2005)『日本語を学ぶ人たちのための日本語を楽しく読む本・中級』、凡人社、82-83.

(3) 手島安基(1995)『日本語長文読解の森:その作成と例題』、静雅堂、105-106.

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添付資料 1: アンケート調査の調査票

日本語読解についての調査1

みなさん、こんにちは。

私はベトナム人日本語学習者の読解実態についての研究を実施しております。みなさんの提出物を授 業改善と私の研究のために使わせていただきたいと思っております。提出物の公表をご承諾いただい た場合、授業、論文や学会発表、研究会等で、データの一部を引用することになります。それ以外の 目的では一切使用しません。

使用の際には提出物の固有名詞をすべて変更・消去することで、個人が決して特定されないようにい たします。なお、後日、使用中止を希望される場合、次の連絡先にご一報いただければ、即刻中止い たします。

なにとぞ、ご協力くださいますよう、お願いいたします。ありがとうございます。

調査者:政策研究大学院大学・国際交流基金修士プログラム 15 期生

トラン グエン バオ ヴィ

連絡先:メール 以下についてご記入ください。この情報は研究上、利用することがありますが、前述したように、公 表の際には個人が特定されないように扱います。

1. 基本情報:

氏名:

学年:

今までの日本語学習期間(~年~月) :

日本語能力試験の合格実績:

あなたが日本語の説明文を読む時、わかりにくいと感じる原因はなんですか。以下の項目が下のど の程度に当てはまるか○をつけてください。正しい答えがあるわけではありませんし、成績や評価に 関係があるわけでもありませんので、あなたの実態によって選んでください。 説明文の例:現在学んでいる読解テキストにあり、物語文ではなく、事実を説明する文章 ; 各科目 (歴史、経済、文学、国際関係など)の参考資料など 1:全く当てはまらない(その原因でわかりにくいと感じたことがない) 2:ほとんど当てはまらない(その原因でわかりにくいと感じたことがとても尐ない) 3: どちらかといえば当てはまる (その原因でわかりにくいと感じたことが、 どちらかと言えばある) 4: ややあてはまる(その原因でわかりにくいと感じたことがある) 5: よく当てはまる(その原因でわかりにくいと感じたことが多い)

Ngày đăng: 23/04/2021, 22:51

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