Một số có người không biết việc đó 何人かは(誰か)そんなことを知らない。 部分否定 Mọi người ai cũng nói không rõ 皆(誰も)はっきり話さない Một số người nói không rõ 何人かは(誰か)はっきり話さな い... 8 ベトナム語では、 単語はさらに小さい単位には分けられず、 文法機
Trang 1ハノイ国家大学 外国語大学 大学院
NGUYỄN THỊ NGÂN HÀ
日本語における否定表現およびベトナム語における相当表現
との対照
-日本文学作品とベトナム語訳版の考察-
CẤU TRÚC PHỦ ĐỊNH TRONG TIẾNG NHẬT VÀ ĐỐI CHIẾU
VỚI CẤU TRÚC TƯƠNG ĐƯƠNG TRONG
指導教官: Tran Kieu Hue 博士
ハノイ-2017 年
Trang 2ĐẠI HỌC QUỐC GIA HÀ NỘI ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA SAU ĐẠI HỌC
NGUYỄN THỊ NGÂN HÀ
日本語における否定表現およびベトナム語における相当表現
との対照
-日本文学作品とベトナム語訳版の考察-
CẤU TRÚC PHỦ ĐỊNH TRONG TIẾNG NHẬT VÀ ĐỐI CHIẾU
VỚI CẤU TRÚC TƯƠNG ĐƯƠNG TRONG
HÀ NỘI - 2017
Trang 3i
保証書
私は Nguyen Thi Ngan Ha で、大学院学科の院生です。私の修士課程論文は日本における否定表現およびベトナム語における相当表現との対照をテーマとして作成しました。指導教師の教えるを元に、自分で論文を書くのを保証いたします。他の論文からコピーしないことにしまた。
ハノイ-2017 年
グェン ティ ガン ハ
Trang 4ii
謝辞
本論文の作成にあたり、終始適切な助言を賜り、また丁寧に指導して下さっ たチャン キエウ フエ先生に感謝の意を表します。
最後になりましたが、家族をはじめ、先輩達、友達には精神的にも支えられました。心より感謝いたします。
Trang 5iii
論文の概略
本論文では、まず否定に関する用語概念を述べる。そのうえ、日本語及びベトナム語における否定表現種類に関する先行研究を挙げ、それを参考として日本語における否定表現を分類する。
次に日本語における否定表現を分類し、分析しながら、ベトナム語との対照をする。
最後に、新海誠の『 秒速 5 センチメートル』という 日本語小説及び『5 centimet trên giây』そのベトナム語の訳本における否定表現の考察も行う。
Trang 6iv
目次
保証書 i
謝辞 ii
論文の概略 iii
目次 iv
表の目次 vi
序論 1
1.研究背景 1
2 .研究対象 2
第一章: 否定の概念 4
1.1 の否定に関する用語概念 4
1.1.1 否定とは 4
1.1.2 否定表現とは 4
1.1.3「否定表現」と「否定」との関係 5
1.2 日本語及びベトナム語における否定表現種類に関する先行研究 5
1.2.1 日本語における否定表現種類に関する先行研究 5
1.2.2 ベトナム語における否定表現種類に関する先行研究 7
第二章: 日本語における否定表現及びベトナム語対照 10
2.1 形式による分類 10
2.1.1 助動詞を否定するもの 10
2.1.2 日本語における漢語の接頭辞 19
2.1.3 二重否定 21
2.2 否定の作用域による分類 26
2.2.1 全面否定表現 26
2.2.2 部分否定表現 27
3.1 考察の概要 31
3.1.1 考察目的 31
3.1.2 考察対象及び範囲 31
3.1.3 考察方法 31
3.2 考察結果 32
Trang 7v
3.2.1 日本語小説及びベトナム語翻訳版に出現した否定表現種類の頻度 32
3.2.2 文に否定表現の用法 34
3.2.3 日本語小説に出てきた否定表現のベトナム語訳版考察結果 35
結論 40
研究成果 40
今後の課題 41
参考文献 42
付録 I
付録 1 『小説・秒速 5 センチメートル』の考察 VI
付録 2 『5 centimet trên giây』の考察 XVIII
Trang 8vi
表の目次
<表 1.1> 本田(1981)の「文法的否定表現」4 分類 6
<表 1.2> 日本語における「ない」を含む否定表現一覧 6
<表 1.3> ベトナム語における否定の分類表 7
<表 1.4> ベトナム語における否定語一覧 8
<表 3.1>日本語小説に出て来た「ない」を使う否定表現数 32
<表 3.2>日本語小説に出て来た「ない」を使う表現以外否定表現数 32
<表 3.3>日本語小説に出て来た否定助詞数 33
<表 3.4> 否定接頭辞を持つ語の訳語考察結果 36
<表 3.5> 否定表現の訳版考察結果 37
Trang 91
序論
1 研究背景
近年、ベトナムと日本の関係拡大に伴って、日本語教育は日々進化していく。日本文化庁の 2014 年日本語教育実態調査結果により、日本語学習者数の国・地域別の内訳としては,ベトナムが 26,409 人で、中国に次いで 2 番目である。日本語学習需要に忚じて、
ベトナムにおける日本語教育場所が益々増えてきた。その他、日本語能力の向上を目指し、日本言語に関する研究も幅広く行われようになった。
否定表現に関し、日本語でもベトナム語でも文法全般の研究はこれまでかなりされてきたが、日越両国語の否定表現対照というような研究はまだそれほど多くないようである。
2 先行研究
日本語の否定表現に関する研究は数多くある。以下はその一部である。
塚原(1990)は、否定表現には「文法的否定表現」と「語彙的否定表現」の二種があり、前者は「否定形式の構文で表現する否定表現」、後者は「否定語彙-否定判断で表現する語彙による否定表現」と定義している。
近藤(1997)は、日本語の否定表現には「文法的否定」と「語彙的否定」とがあると指摘している。「語彙的否定」については、「不可能、不明、だめ」などの語例に挙げながら、「文法的には肯定表現、語彙自体否定の意味を含む一群の語がある」と、説明している。
また、工藤(2000)では文法的否定形式は基本的に<述語否定文否定であって、主語と述語のむすびつき(ネクサス)を否定するもの(語彙的否定形式については、
「主語と述語との結びつきを否定するものではないく語否定と述べている。
「文法的否定表現」については本田(1981)の 4 分類に拠り進めていくことにする。筆者は以下の 1.1 表のようにまとめる。
Trang 104 研究目的
日越両国語の否定表現におけるそれらの相違を把握・運用することは通訳、第二言語教育に欠かせないので、日本語を学習するベトナム語母語者にとって重要な意味がある。本研究は先行研究を踏まえて、日本語の否定表現を体系的に論じするものとして、日本語習得の際に、否定表現において誤りしやすい点をはっきりさせ、また体系的に比較・分析し、それを運用できるよう目的としている。
5 研究方法
本稿では、今までの関連研究を基に筆者の観点を加え、日本語否定表現に関し、理論・分析・統合した。また、ベトナム語とも対照し、その共通点・相違点を明確にする。
更に、日本語小説及びベトナム語で訳本における否定表現を考察する。日本語の否定表現の出現、出現数、形式、意味などについて調べる。
このように、考察から得られたデータに基づき、統計表・図表を作成し、分析する。
Trang 113
5 本稿の構成
本稿は序論、第 1 章、第 2 章、第 3 章と結論の 5 つ部分からなる。序論では、研究背景、研究対象、研究目的、研究方法、それから本稿の構成について説明する。
第 1 章では、否定の概念を述べる。更に、日本語及びベトナム語において否定表現の先行研究を述べて、否定の意を表す言い方を分類する。
第 2 章では日本語の否定表現について分析しながら、ベトナム語との対照をする。
第 3 章では、秒速5センチメトール(新海真)という小説の日本語版とベトナム語版の考察の結果を述べる。
結論では、本論のまとめ及び今後の検討課題について述べる。
最後に考察文献、謝辞、付録を記述す。
Trang 124
第一章 否定の概念
第一章では否定に関する用語概念を述べる。そのうえ、日本語及びベトナム語における否定表現種類に関する先行研究を挙げ、それを参考として日本語における否定表現を分類する。
1.1 否定に関する用語概念
1.1.1 否定とは
肯定と否定は、古典論理学、記号論理学、哲学などでは対立概念と考えている。また一方「否定を、肯定に対するものと考えない立場もあり、その場合は肯定的な方向から否定的な方向への意味移転(ヴェクトル的な否定)として説明している。([松村明『日本文法大辞典』による]
③(文法用語)打ち消しに同じ。⇔肯定。
1.1.2 否定表現とは
否定表現の意味や範囲を明らかにするために、まず「表現」という言葉の意味からさぐる必要があると思う。日本の『広辞苑』の中に載せられるものから見よう。
『広辞苑』の表現:
心の状態・過程または性格・志向・意味など総じて精神的・主体的なものを、外面的・感性的な形象として表すこと。また、この客観的・感性的形象そのもの、すなわち表情・身振り・動作・言語・手跡・作品など。
「否定表現」は形態論上の否定と意味論上の否定との両方をともに含めることになる。 筆者は「否定表現」は以下の三つの場合に分けられると考える。
Trang 13①と③の否定表現にあたることになる。
本論では、否定表現の曖昧さに基づいて、否定要素を使って否定の意味を表すものおよび否定の意味を表さないものに限定し、あくまでもその意味内容の範囲以内で述べていこうと考えている。
1.2 日本語及びベトナム語における否定表現種類
1.2.1.日本語における否定表現分類
塚原(1990)は、否定表現には「文法的否定表現」と「語彙的否定表現」の二種があり、前者は「否定形式の構文で表現する否定表現」、後者は「否定語彙-否定判断で表現する語彙による否定表現」と定義している。
近藤(1997)は、日本語の否定表現には「文法的否定」と「語彙的否定」とがあると指摘している。「語彙的否定」については、「不可能、不明、だめ」などの語例に挙げながら、「文法的には肯定表現、語彙自体否定の意味を含む一群の語がある」と、説明している。
また、工藤(2000)では文法的否定形式は基本的に<述語否定文否定であって、主語と述語のむすびつき(ネクサス)を否定するもの(語彙的否定形式については、
「主語と述語との結びつきを否定するものではないく語否定と述べている。
「文法的否定表現」については本田(1981)の 4 分類に拠り進めていくことにする。筆者は以下の 1.2 表のようにまとめる。
Trang 14い。
本稿では、「文法的否定現」の共起制限と「語彙的否定表現」の共起制限とに二分して検討していく。文法的な否定表現は、動詞、形容詞、名詞+「だ」に打消しの「ない」が付いた形式で示される形態論的には、助動詞の「ない」(動詞未然形に接続)と形容詞の「ない」(形容詞などの連用形に接続)に分けられる。
「語彙的否定表現」は、非存在を表す形容詞の「ない」、対忚する肯定形式が存在せず、否定の意味がない派生形容詞とみなすべき述語などを含む語である。 日本語文型辞典に基づいて、日本語における「ない」を含む否定表現一覧を述べる。そのうち、否定要素を含み、否定の意味を表すものと否定要素を含むが、否定の意味を表さないものに分ける。
Trang 15Một số (có người) không biết việc đó 何人かは(誰か)そんなことを知らない。
部分否定 Mọi người (ai cũng) nói không rõ
皆(誰も)はっきり話さない
Một số người nói không rõ 何人かは(誰か)はっきり話さな
い
Trang 168
ベトナム語では、 単語はさらに小さい単位には分けられず、 文法機能を負担する単語より小さいな要素が存在していない。そのため、 否定という文法機能を果たす要素には否定辞のような~辞という名前ではなく、否定語のような~語を用いる
Từ điển Tiếng Việt(p.561)によると、 không の欄の一行目の行列では、 否定意を表
す否定語であると書いてある。つまり、 không は文中において専ら否定語の役割
べたことあるいは普通に予期されることと両立し難いようなことを、この場合には両立するとして述べるのに使う連続詞である(p.666)と書かれている。
上記から分かるように、 không の主な機能は否定語であるが、 đâu の主な機能は疑問詞で、 mà の主な機能は連続詞である。 したがって、 không のような否定語を否定専用語、 đâu, mà のような否定語を派生否定語と呼ぶことにする。
また、 単一の単語ではなく、二つの要素以上から構成される否定語もある。このような否定語を複合否定語と呼ぶことにする。
Trang 179
(e)quái, quỷ のような幽霊みたいなもの
・否認否定語:
(f)複合否定語 không phải, chẳng phải, không phải là, chẳng phải là
(g)疑問詞由来否定語 ai, sao, nào, gì
(h)mà
先行研究者によると、否定表現分類には様々な方法がある。筆者は先行研究における否定表現の分類方法を参考として、以下の表のように分類する。
Trang 1810
第二章 日本語における否定表現及びベトナム語対照
第二章では日本語における否定表現を分類し、分析しながら、ベトナム語との対照をする。
先行研究者によると、否定表現分類には様々な方法がある。筆者は先行研究における否定表現の分類方法を参考として、以下の表のように分類する。
それで、打ち消す品詞によって、「ない」形は違う。具体的は下の表に述べる。
Trang 19(イ) 「ぬ(ん)」の活用
Trang 20(ん)」は、特殊な活用をする助動詞である(特殊型)。
(ウ)「ない・ぬ(ん)」の接続
助動詞は付属語で、かならず他の語のあとに続けて用いられる。それでは、「ない」「ぬ(ん)」という助動詞は、どのような語のあとに続くか述べる。
これらの例から、「ない」と「ぬ(ん)」はいずれも、活用の種類を問わず、すべての動詞の未然形に付くということがわかる。
動詞「ある」の未然形は「あら」であるが、仮にこれに助動詞「ない」が付くと
Trang 21例: きょうは暑くない。
2.1.1.2 まい
★「まい」の意味
「まい」には次の二つの意味があり、「う」「よう」の意味とちょうど対照的である。
Trang 22話し手が「~だろう」と想像することを推量という。助動詞「う」「よう」の意味の一つが推量だった。
例文の「まい」は、この推量の意味に、さらに「~でない」という意味(打ち消し)が加わったものである。
つまり、「~ないだろう」と想像する(推しはかる)ことを意味しており、これを打ち消しの推量という。これが「まい」の一つめの意味である。
(イ) 打ち消しの意志
例: 決して 怠け者には なるまい 。
「なるまい」は、そうならないようにするつもりである、あるいは、そうならないことを決心するという意味をあらわしている。
助動詞の「う」「よう」のもう一つの意味に、話し手の「~するつもりだ」という気持ち・決心をあらわす意志があった。
例文の「まい」は、この意志の意味に、さらに「~でない」という意味(打ち消し)が加わったものである。
つまり、「~ない(ようにする)つもりだ」という気持ちをあらわしていて、これを打ち消しの意志という。これが「まい」のもう一つの意味である。
以上みたように、「う」「よう」が推量と意志をあらわすのに対して、「まい」は打ち消しの推量と打ち消しの意志をあらわすというように対照的である。
「う」「よう」の打ち消し(否定)の意味が「まい」であると理解してください。
【図】「まい」の意味
Trang 23「まい」は無変化型の活用をする助動詞である。
無変化型の活用をする助動詞には、「まい」のほかに「う」「よう」がある。 無変化型の活用は、すべて基本形と同じである。
ところで、もう一度活用表をよく見ると、連体形の「まい」が丸かっこで囲んである。
この丸かっこは、連体形の「まい」が用いられるのは、「こと」「もの」といった名詞が続く場合だけにかぎられるということをあらわしている。
次の例をあげる。
打消し(否定)
Trang 24例を二つのグループに分ける。
言うまい、落ちまい、消えまい、来まい、失敗しまい
このグループの下線の部分はすべて動詞で、すべてが同じ活用形というわけではない。
「言う(まい)」は、五段活用の動詞(言う)の終止形である。
一方、「落ち(まい)」「消え(まい)」「来(まい)」「失敗し(まい)」は、それぞれ上一段活用(落ちる)・下一段活用(消える)・カ行変格活用(来る)・サ行変格活用(失敗する)の動詞の未然形である。
このように、「まい」は、五段活用の動詞にはその終止形に付くが、五段活用以外の動詞にはその未然形に付く助動詞である。
次にもう一つのグループをあげる。
知らせまい、食べさせまい、言われまい、来られまい、思いますまい
このグループの下線の部分は、すべて助動詞である。
「せ」「させ」「れ」「られ」は、それぞれ、「せる」「させる」「れる」「られる」の未然形である。
このように、「まい」は、助動詞「せる」「させる」「れる」「られる」の未然形、および、助動詞「ます」の終止形にも付く。
「まい」のもう一つの接続
「まい」の接続については、以上のように説明である
「させる」「れる」「られる」の未然形に付くと説明したが、上の例では、すべてそれらの終止形に付いている。
★ベトナム語との対照
日本語は膠着語で、ある事態あるいは出来事を否定するとき、動詞の語形を変換する方法(食べない/食べません(丁寧形))を用いる。ベトナム語は孤立語な
Trang 2517
ので、文法機能は機能語によって表される。したがって、否定は否定語という機能語によって表されている。
日本語では「~ない」が動詞の後に位置し、ベトナム語では否定語が動詞の前日本語では「~ない」が動詞の後につけるというのがベトナム語と日本語の基本的語順の相違の一つの現れであるが、これは、否定の作用域の決定にも違いをもたらしている。
ベトナム語では否定の作用域は、基本的に次のような原則に従っていると考えられる。
(5) A が否定語に統御され、否定語の左になければ、A は否定の作用域に含まれる。 つまり(6)の文の場合には、
(6) 私はコーヒーを飲まなかった。
Tôi không uống cà phê
「コーヒーは飲まなかった」という意味になるが、「私は飲まなかった」という意味にはならない。右にある要素が多ければ、右の端の方にある要素は否定の焦点になりやすくなる。
(7) 彼女は歌がうまくない。
Cô ấy hát không hay
(7)では、「うまい」は否定の焦点になる可能性がもっとも高い。したがって、全文あるいは主語を否定するために、否定語は文頭に置かれなければならない。 (8)辞書を盗む人は私じゃない。
Không phải tôi đã lấy trộm từ điển
(8)では、否定作用域にあるのは否定語の右にあるものである。否定の焦点になれるのは主語 の「私」あるいは「私が辞典を盗んだこと」という全文、「盗む」および「辞書」である。しかし、「盗む」、「辞書」が否定の焦点である場合は否定語が述語動詞に後置される構造を取ることが多い。
したがって、否定語が文頭に位置する場合においては、否定語の焦点は主語あるいは全文であると理解される。
一方、日本語では否定辞が動詞に後置しているため、否定される要素は、常に否定辞の前に位置する。そのため、表層での語順ではなく、文のどの要素が焦点と読めるか、というのが否定の作用域を決める上で決め手となる。
Trang 26ベトナム語では、否定の焦点を明らかに示す手段がある。それは否定語を否定したいものの前に置くという方法である。
(11) 彼は歌がうまくない。
Anh ấy hát không hay
しかし、どんな否定語でも、否定する対象に先行することによって、否定の焦点を示すことができるということではない。多くの否定語は動詞を修飾する副詞以外、他のものが否定の焦点であることを示せない。動詞を修飾する副詞以外、他の要素が否定の焦点であることを示せるのは否定語 không phải である。それに、そのものを説明する mà 節を追加した方が文法的には正しい。
(12) Mai が日本語を習ったのは Hoa 先生じゃなくて、Lan 先生だ。
Mai học tiếng Nhật không phải từ cô Hoa mà từ Cô Lan
しかし、ベトナム語と同じように、「は」のような否定焦点を示す印がなくても、否定の焦点と解釈される場合が多い。
(13) 先週旅行へマリと行かなかった。(から、マリにしかられた)(=旅行へ行ったが、マリと行ったのではない)
(14) うちの子供は肉を食べない(から、困ります。)(=子どもは食べ物を食べるが、肉は食べない。)
Trang 27本校では日本語否定の意味の接頭辞として「非」「無」「不」「未」を挙げる。 2.1.2.1 接頭辞「不」
接頭辞「不」が付与した派生名詞と基本である名詞とは下のように反意語である例が多い
接頭辞「不」には形能素付与の例が存在し、接頭辞「不」が付与する前の形能素が語として存在しない、あるいはまったく別の意味になる例がある。
(20)a 不発―発 不足―足
(20)b 不要―要 不備―備
しかし、bの場合、別の語を付与することで反意語として存在する。
接頭辞「不」付与の派生形容詞の場合、(20c)は反意語が同じ接尾辞「な」であるが、(20d)は接尾辞が異なり接尾辞の種類も多様である。
(20c)不得意な―得意な 不完全な―完全な
(20d)不安定な―安定した 不利益な―利益のある
2.1.2.2 接頭辞「非」
接頭辞「不」と同様、接頭辞「非」が付与した派生名詞と基本である名詞とが反意語関係になる例は下のように挙げられる。
21 a 非公式―公式 非公開―公開 非課税―課税
接頭辞「非」は付与した派生名詞と語彙として存在するものの接頭辞「非」が付
Trang 2822a 無意味―意味のある、無関係な―関係のある
接頭辞「無」には形態素付与の派生名詞も多く、その場合、反意語は接頭辞「有」が付与の派生名詞の例が多い。
22b 無給-有給 無効―有効 無罪―有罪
2.1.2.4 接頭辞「未」
接頭辞「未」は単に否定の意味を表すのではなく、まだ行われていないという意味を含む。
(23a)は接頭辞「未」付与の派生語と基本の名詞とが反意語関係になる例 未完成―完成 未成年-成年
(23b)のように接頭辞「未」は形態素に付与する例が多い。基本となる形態素は語として存在しない、あるいはまったく別の意味になる。
未開―開 未然―然 未明―明
(23c)のように、接頭辞「未」付与の派生語と基本の形態素に別の接頭辞をす付与することで反意語関係になることがある。
Trang 2921
(23c)未決―既決 未婚―既婚 未熟―完熟
★ベトナム語との対照
6 世紀以降の封建社会においてはベトナムは中国からの漢字を使用した。16 世紀から、ベトナムにローマ字が導入され、正式にベトナムの文字になったが、まだ、かつて漢字で書かれた時の発音(漢音)は残っている。
例えば、vô phúc(不幸), vô duyên(失礼), bất lực(無力), bất hạnh,(不幸)phi thường(超人的)という複合語の中に、漢音の vô(無)、bất(不)、phi
(不意に)bất ngờ
(理由なし)vô cớ
2.1.3 二重否定
二重否定とは否定の意味を持つ語を2回使い、強い肯定や婉曲的な意味を表現する用法である。
日本語の二重否定表現は多種多様である。本稿では日本語における形式的二重否定の種類を以下のように述べる。
Trang 31⑤ 「~ないものではない」
例:1982 年、アメリカの科学アカデミーは「ガンは税金みたいに逃れられないものではない」というタイトルで、「がんはビタミン A、C、E をしっかり摂れば、確実に防げる」ことを示す。
Trang 33いずれにせよ二重否定の場合でも là は省略可能である。là はいつでも影の薄い存在である。
Trang 3426
không khỏi + [動詞] ~せずにはいられない
không quên + [動詞] 忘れずに~する
2.2.1 全面否定表現
全面否定とは、その否定文に対する、考えられる肯定文の意味全体を、肯定的なを余韻を尐しも残らずに強調的に否定するものを指す。この場合、陳述的な副詞と共起して、否定の述語が強められ、話し手の何らかの態度を含むものになる。例えば、次の例である。
(1)気を悪くされたのなら謝ります。失礼なことを言うつもりは決してなかったのです。
(8)よもやばれることはないだろうと思っていたのに、母は私の嘘を見抜いていた。
(9)妻が髪型を変えたのに、ちっとも気がつかなかった。
(10)彼女が僕を裏切るなんて、とうていあり得ない。
Trang 352.2.2 部分否定表現
全面的に否定するのではなくある部分は肯定することを表す言い方。
この場合、陳述・程度副詞による修飾語、またはそれに準じるものと、否定の述語との共起によって、否定文の否定性がいくらか狭められる。つまり、否定文でありながら部分的な肯定性が文の裏に存在するということである。それで、話し手の何らかの態度が含まれた部分否定の文法的な意味が生じ、その否定文が特殊化されてしまう。次は例を挙げる。
「X なら、かならず Y だ」という論理がいつもあてはまるわけではなく、そうで
Trang 3628
はない場合もある。「わけではない」「とはかぎらない」などとともに使うことが多い。
tuyệt đối (絶対に) + không 絶対に~しない
hoàn toàn (まったく) + không まったく~しない 例)
彼は絶対に来ない
Anh ấy nhất định không đến
疑問詞を使った完全否定
「誰」「どこ」といった疑問詞を使った完全否定の場合、疑問詞は目的語の位置に来ます。日本語にも「誰も来ない」「どこにも行かない」などの表現がありますが、ちょうどそれと同じである。
Trang 3729
không + [動詞] + [疑問詞]
chưa + [動詞] + [疑問詞]
(「どこにも~しない」「誰とも~しない」「何も~しない」など)
この場合、さらに文末に "cả" や "hết" をつけることができます。こうした語も否定の強調の意味を持つ。
không + [動詞] + [疑問詞] + cả không + [動詞] + [疑問詞] + hết chưa + [動詞] + [疑問詞] + cả chưa + [動詞] + [疑問詞] + hết
例)
昨日私はどこにも行かなかった。
Hôm qua tôi không đi đâu
彼女は何も言わない。
Chị ấy không nói gì cả
Chị ấy không nói gì hết
5 時間も待っていたのに、まだ誰にも会っていない。
Chờ đến 5 tiếng nhưng tôi chưa gặp ai hết
■ 文末詞を使った完全否定
文末に強調表現の言葉を置くことによっても完全否定を表すことがでる。"đâu" はもともと「どこ」という意味の疑問詞ですが、ここではその意味は消え、「まったく~ではない」という、相手の意見への反駁の意味を持つようになっている。
"chút nào" は「尐しも」ですから、 "không" と組み合わせると「尐しも~ない」という意味になる。
(まったく)~ではない
Ý kiến của anh không đúng đâu
không + [ ] + đâu 例:Ý kiến của anh không đúng đâu
尐しも~ではない
彼はちっともまじめに勉強しない
không + [ ] + chút nào Anh ấy không học chút nào
Trang 3830
■ 文全体の否定
‘không phải là’を文章の前につけることで、その文章全体を否定することができる。否定する文章がもともと否定形であった場合、二重疑問文となります。 "là" は省略することもできる。
không phải là + [文章]
例: 学校に行きたくないわけじゃない Không phải tôi không muốn đi học
không phải + [文章]
例:彼女は遊んでいるのではない Không phải là chị ấy đi chơi
①疑問詞+も~ない
②否定副詞+ない ①không + [動詞] + [疑問詞] + cả
②hoàn toàn không /tuyệt đối không ~
không thể không~
Trang 39『小説・秒速 5 センチメートル』は、1990 年代前半頃の東京の小学校を舞台に、二人の男女:貴樹と明里の出会いと、お互いに惹かれていく所から始まっていく。 物語は、「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速 5 センチメートル」の短編3話構成となる。
第一話「桜花抄」 : 二人が小学生時代で、明里が転校してしまう時の話。 第二話「コスモナウト」 : 二人が高校時代で、主に貴樹の学生生活が描かれている。
第三話「秒速 5 センチメートル」 : 二人が社会人時代で、主に貴樹の社会人生活が描かれている。
ベトナム語に翻訳されたものが、『5 centimet trên giây』である。
Trang 4032
ら、否定表現を使った例文を集め、統計する。
分析
上記の統計の方法により、否定表現を使った例文を分析する。これらの小説における否定表現は文にどんな機能を持つか、どのように使用されるかについて調べる。前章に述べた理論に基づき、得られたデータを処理し、結果を表や図でまとめ、否定表現種類の特徴を明らかにする。
対照
集められた用例を、越訳語と比較する。これらの翻訳用例を、小説『』から抽出したものである。
その結果、否定表現はベトナム語に翻訳されるとき、どんな訳語にされたかについて纏める。
Trang 4133
<表 3.1>と <表 3.2> を見ると、否定表現種類の出て来た頻度は大きい差のあるがある。減尐順番にようるとは:
ず
二重否定
Trang 42(3)デーリィコーヒーの紙バックを迷いなく選ぶ。(71)
(4)私が仕方なく名前だけ書いて提出した進路調査用紙だ。(P75)
(5)やっぱりどうしようもなく、遠野くんのことが好き。(P111)
(6)仕事は変わらず忙しいかったが、内容はもはやルーチンワークにすぎなかった。(P146)
(7)狭い道の入りくむ住宅街をゆっくりと歩き、喉が渇くと自動販売機でコーヒーを買って公園で飲み、学校校門から走り出て自分を追い越していく小学生たちの背中をなんとなく眺め、歩道橋の上から途切れることのない車列を眺めた。
上例から判るように、この用法では、形容詞の「ない」の「なく」という形と結ぶつく例が一番多いようである。この場合、否定表現は、副詞的な用法として文の中に用いられている。
例(1)「とてつもなく」は形容詞の「とてつもない」から成されている。 例(2)「早くもなく遅くもなく淀みもなく」は「早くもない」、「遅くもない」および「淀みもない」否定表現を三つ結んで用いられている。
特に、例③の「迷いなく」、例④の「仕方なく」、例⑤の「どうしようもなく」、例⑥の「変らず」、例⑦ の「なんとなく」はすでに副詞として時点に載せられている。
3.2.2.2 連体(連用)修飾語(節)に現れる場合
(17)彼は八歳から二十歳までを東京で過ごしたが、当時実家のあった世田谷区あたりしか記憶にはなくそれ以外の東京は知らない土地も当然だ。
(18)それを言わせなかった自分の気持ちも、打ち上げを見た時の一瞬の高揚の重なりも、その後の彼女の諦めも。 (135)
(19)明日の出勤に備えて、もう寝なければならない時間だ。(136)
Trang 4335
(20)廊下から楽しげな声が小さく聞こえてきて、突然、自分でも驚くくらい、彼は見知らぬ電話の相手に対して激しく嫉妬だ。
(21)買いたいものなんて何もないのに、お金だけは貯まっていくのだ。
(22)彼が来ないかもしれないなんて疑いは欠片も持たなかった。
例(17)では、「知る」という一つの]単語しか否定していない。
それに対して、例(18)が否定しているのは、一つの単語よりもっと広い範囲に及ぶ。「それを言わせる」という連語を否定している。
例(19)の場合で、「寝なければならない」否定表現が連体修飾的な用法として使われ、「時間」名詞に修飾している。
例(19)と同様に、例(20)の「見知らぬ」否定表現も「電話の相手」の連体修飾修飾として用いられる。
Trang 45Tôi thậm chí không dám nghĩ đến chuyện mình được hẹn hò với cậu ấy, một chút xíu cũng không
部分否定表現
僕の生活圏からはほとんど馴染みのない駅だったが、
một ga chẳng lấy gì làm thân quen so với cuộc sống thường nhật của tôi
しかし昔はあまりすきではなかった。
thực ra ngày xưa tôi cũng không thích chị lắm
二重否定表現
それでも僕はこの手紙を書かなければならないと、彼は思う。 Nhưng anh vẫn phải viết thư
わたしはこれからは一人でもちゃんとやっていけるようにしなくてはいけません。
Từ giờ tớ sẽ phải quen với việc
làm mọi thứ một mình
分からないなんてありえないんだけど。 Làm sao có chuyện không nhận ra nhau được 自分の手にした道具の信じられな
いほどの複雑さ、それを可能した人の所業に思いを馳せないわけに
Tôi bước xuống cầu thang, khu học xá tối om không một bóng người
(32) 僕は近くの誰も座っていないボックス席にどさりと腰を下ろした。