ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA SAU ĐẠI HỌC HỒ THỊ HOÀI NAM 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 -ベトナム語との比較- THÀNH NGỮ CÓ TỪ CHỈ CON SỐ TRONG TIẾNG NHẬT SO SÁNH VỚI TIẾNG VIỆT LUẬN VĂN THẠC SĨ Chuyên ngành
Trang 1ハノイ国家大学 外国語大学 大学院
HỒ THỊ HOÀI NAM
日本語における数字を表す言葉を使った慣用句
-ベトナム語との比較-
THÀNH NGỮ CÓ TỪ CHỈ CON SỐ TRONG TIẾNG NHẬT
(SO SÁNH VỚI TIẾNG VIỆT)
修士論文
専攻科目:日本語学
コード :60.22.02.09
ハノイ-2017 年 ĐẠI HỌC QUỐC GIA HÀ NỘI
Trang 2ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA SAU ĐẠI HỌC
HỒ THỊ HOÀI NAM
日本語における数字を表す言葉を使った慣用句
-ベトナム語との比較-
THÀNH NGỮ CÓ TỪ CHỈ CON SỐ TRONG TIẾNG NHẬT
(SO SÁNH VỚI TIẾNG VIỆT)
LUẬN VĂN THẠC SĨ
Chuyên ngành : Ngôn ngữ Nhật Bản
Mã số : 60.22.02.09 Người hướng dẫn : PGS.TS Ngô Minh Thủy
HÀ NỘI - 2017
Trang 3保証書
私は Hồ Thị Hoài Nam で、大学院学科の院生です。わたしの修士課程論文は日本語における数字を表す言葉を使った慣用句をテーマとして作成しました。指導教師の教えるを元に、自分で論文を書くのを保証いたします。他の論文からコピーしないことにしました。
ハノイ-2017 年
Hồ Thị Hoài Nam
Trang 4謝辞
本稿を作成している間に、先生、家族と友人の皆様から励ましとご協力をいただ きまして、感謝の気持ちを表したいと存じます。
まず、指導教官であるゴ・ミン・トゥイ先生に心から感謝申し上げます。非常に大切な本をた くさん提供してくださいました。そのうえ、日本語学の研究方法から、論文執筆の 仕方まで、先生から厳格かつ親切なご指導をいただきました。この論文の完成に際して、トゥイ先生の深い学恩に衷心より厚くお礼を申し上げます。
最後に、如何なる時も終始私を支えてくれ、励ましてくれた家族並び友人たちに 心からお礼を申し上げます。
Trang 5論文の概略
本論文では、まず日本語とベトナムにおける慣用句の定義、慣用句と同様的な形容との分別、そして慣用句の分類などを述べた。その上、日本語の慣用句に関する構成や意味の特徴などの概要を紹介した。
次に、日本語の『例解慣用句辞典』とベトナム語の『Thành ngữ học Tiếng Việt』という辞書を資料にし、日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を考察・分析しながら、ベトナム語との比較を行ない、統語的な構成要素や意味を取り出した。
最後に、ベトナム語の数字を表す言葉を使った慣用句に関する対照分析を行い、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上げ、日本とベトナムの文化に関する同異点を明らめにした。
Trang 6保証書 i
謝辞 ii
論文の概略 iii
目次 iv
表の目次 vi
序論 1
1.研究の背景と目的 1
2.先行研究 1
3.研究の目的 2
4.研究の対象・範囲 2
5.研究方法 3
6.論文の構成 3
本論第一章 : 日本語における慣用句 4
1.1.慣用句についての概念 4
1.1.1.日本語における慣用句の概念 4
1.1.2.ベトナム語における慣用句の概念 6
1.2.日本語における慣用句と同様形容との分別 7
1.2.1.慣用句と諺 7
1.2.2.慣用句と連語 8
1.2.3.慣用句と熟語 8
1.3.日本語における慣用句の分類 9
1.3.1.品詞別の特徴に基づいての分類 9
1.3.2.形式上に基づいての分類 9
1.3.3.意味に基づいての分類 10
1.4.日本語における慣用句の特徴的意味 10
1.5.本章のまとめ 12
第二章: 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察 14
2.1.数字についての概要 14
2.1.1.数字の概念 14
2.1.2.日本語の慣用句における使われている数字 15
2.2.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察 17
2.2.1.考察の目的 17
2.2.2.考察対象及び範囲 17
2.3.考察結果 17
Trang 72.3.1.日本語とベトナム語の慣用句で使われた数字 17
2.3.2.日本語とベトナム語の慣用句における数字の出現頻度 19
2.4.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の分類 24
2.4.1.日本語における数字を含む慣用句の品詞別 24
2.4.2.日本語における数字を表す言葉を使った形式上の慣用句 27
2.4.3.日本語における数字を含む慣用句の意味 29
2.5.本章のまとめ 35
第三章 : 日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味及び文化的要素 38
3.1.日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味 38
3.1.1.「一」「二」「三」を使った慣用句の特徴的意味 38
3.1.2.「四」「五」「六」を使った慣用句の特徴的意味 45
3.1.3.「七」「八」「九」を使った慣用句の特徴的意味 46
3.1.4.「十」「百」「千」「万」を使った慣用句の特徴的意味 47
3.2.日本語の慣用句において使われた数字の文化要素 49
3.2.1.日本語の慣用句において使われた数字の「吉」と「凶」を表す文化現象 49
3.2.2.日本語の慣用句における実数を表さない数字の意味 51
3.3 本章のまとめ 52
結論と今後の課題 54
1.結論 54
2.今後の課題 55
参考文献 577
日本語の文献 57
ベトナム語の文献 57
付録 I
付録 1.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 I
付録 2 ベトナム語における数字を表す言葉を使った慣用句 VIII
Trang 8表の目次
表 1.慣用句と諺の分別 12
表 1.1.慣用句の構成要素の意味的観点から考察する日本語慣用句の構成割合 16
表 2.1.日本語とベトナム語の慣用句で使われた数字 18
表 2.2.a.日本語の一つの慣用句における二つ使った数字 19
表 2.2.b.ベトナム語の一つの慣用句における二つ以上使った数字 21
表 2.3.日本語とベトナム語の慣用句における数字の出現頻度 23
表 2.4.日本語の動詞慣用句 25
表 2.5.日本語における数字を含む慣用句のグループ 29
表 2.6.a.体・性格・態度を表す慣用句 31
表 2.6.b.感覚・感情を表す慣用句 32
表 2.6.c.状態・程度・価値を表す慣用句 32
表 2.6.d.社会・文化・生活を表す慣用句 34
表 2.6.e.行為・動作・行動を表す慣用句 34
表 3.1.1.1 日本語における「一」を使った慣用句の意味 39
表 3.1.1.2 日本語における「二」・「三」を使った慣用句の意味 44
表 3.1.2 日本語における「四」「五」「六」を使った慣用句の意味 46
表 3.1.3.日本語における「七」「八」「九」を使った慣用句の意味 46
表 3.1.4.日本語における「十」「百」「千」「万」を使った慣用句の意味 47
Trang 9序論 1.研究の背景と目的
私たちが毎日使っている言葉の中に、二つ以上の単語が組み合わさって、元の言葉とはまったく違った特別の意味に使われる、おもしろい言葉がたくさんある。例として、ベトナム語で「chờ dài cổ」(①首を長くする)、「nổi da gà」(②鳥肌が立つ)というようなものは会話や文章によく出ている。①の首と長く、②の鳥肌と立つという単語はそれぞれ独立した意味をもっているが、上のように組み合わせたら、異なった意味になった。①と②のような言葉を
「慣用句」と言う。
慣用句は人間の日常生活に親しみ、習慣として長い間、多くの人々に使いこなされて、私たちの日常の会話や文章にどんどん用いられ、私たちの言葉を使う生活を豊かにしている。例として、気温が低いすぎたときの感覚を表すとき、
「さむい」「つめたい」を使うが、「鳥肌が立つ」を使うと、言葉の意味と組み合わせを通して、どんなに寒いか推量できる。しかし、こういう表現はある程度、難しいものである。一方、「頭がいい」「目が高い」「首を長くする」というような基礎の文型を使って、構成された慣用句もある。また、慣用句は人間の生活から生まれ、そして社会生活の中で、育まれたことから、その社会の世界観や風俗習慣などが色濃く現れ、それぞれの国の人々の気質や考え、その国の言語独特の伝統、生活習慣や国民性などをよく映し出している。日本語の慣用句も日本人が好んで用いるもので、日本語学習者の学習上、必要になるものである。
日本語とベトナム語も他の言語と同様、慣用句を持つ言語である。しかも日本語とベトナム語とも慣用句は日常的によく使われるものであり、相互に慣用句の用法・解釈を深く理解することが言語研究だけでなく、異文化理解においても、欠かせないものとなる。
慣用句では動物や自然や植物や人の体や品物や色や数字などに関する言葉が使われている。本研究では日本語における「数字」を表す言葉を使った慣用句を選び、構成や意味を分析しながら、日本語とベトナム語の間にどんな同異点があるか比較して、取り上げる。
2.先行研究
日本語における動物や自然や人の体や色に関する言葉を使った慣用句の研究は数多くあるが、数字に関してはまだ尐ない。その研究は以下のように紹介する。
Giang Thị Tám (2001)は数字を表す言葉を使った慣用句についての研究で、漢語の慣用句を考察しながら、ベトナム語の慣用句との対照分析を行った。また、研究で一般的慣用句と漢語の慣用句における文化的特徴も取り上げた。
Trang 10 Ngô Minh Thủy (2012)は「日本語の慣用句と慣用句理論」で、日本語の慣用句において、よく使われている「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、36、50、99、100、180、300、800、1.000、10.000」という自然数字と「半、両」という数量詞を示した。さらに、これらの数字は個々の数の意味をもっているが、慣用句の構成要素として使われた場合、ほとんど本来の意味を表さずに、「尐し、たくさん、多数…」のような一般的数量の意味を表すという特徴を取り出した。
Hoàng Hữu Dũng ・Đỗ Thị Hồng Nhung (2017)は「漢語における慣用句と諺の特徴的数字について」では漢語における数字を表す 256 の慣用句と諺を考察・分析を行い、漢語における 16 の特徴的数字を指摘した。これらの数字は
「1/2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1.000、10.000、100.000、1.000.000」となっていた。また、研究では漢語とベトナム語の同異点を明らめにした。
3.研究の目的
上述のように、日本語における「数字」を表す言葉を使った慣用句に関する研究はまだ尐ない。そこで本論では、これらの慣用句を考察・分析しながら、統語的な構成要素を取り出す。そして、日本語の慣用句に反映する文化的背景を考察し、ベトナム語との比較を通し、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上げ、日本とベトナムの文化に関する同異点を明らめにする。
本研究の結果は日本語学習者に日本語の慣用句への認識を高めさせ、日本人の表現心理や考え方の微妙なところを深く理解させると共に、慣用句を正しく学習し、正しく使用する能力だけでなく、翻訳する能力も養うのに役に立つと思われる。
以下は日本語とベトナム語の慣用句辞典のリストである。
①井上宗雄(1992)『例解慣用句辞典』創拓社出版
②三省堂編集所(2010)『故事ことわざ・慣用句辞典第二版』三省堂
③Nguyễn Lân (2014),Từ điển thành ngữ và tục ngữ Việt Nam, NXB Văn học
④Hoàng Văn Hành (2008), Thành ngữ học Việt Nam, NXB Khoa học xã hội
Trang 115.研究方法
本研究では日本語の慣用句の意味と表現における特徴を明確にする。先行研究を踏まえた上で、慣用句の定義について概観し、さらに、個別的に日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を分析やベトナムの数字を表す言葉を使った慣用句と比較をする。分析・比較は、先行研究に基づき、日本語の慣用句における品詞別の特徴と意味の特徴を項目として立てて行う。分析・比較する前に、数字を表す言葉を使った慣用句を収集する必要がある。実際には出現頻度が低く、あまり使用されていない慣用句も見られるが、本研究では語の意味的・形態的な成り立ちについて分析を研究の目的とするため、使用頻度の低さを考慮しないこととする。
このように、先行研究や日本語とベトナム語の慣用句の総計結果に基づき、統計表・図表を作成し、分析・比較を行う。
第 2 章:日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察
本章では日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を考察・分析しながら、ベトナム語との比較を行ない、統語的な構成要素や意味を取り出す。
第 3 章:日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味と文化的要素 本章では、ベトナム語の数字を表す言葉を使った慣用句に関する対照分析を行い、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上げ、日本とベトナムの文化に関する同異点を明らめにする。
結論では、研究のまとめ、及び今後の課題について述べる。
最後に考察文献、謝辞、付録を記す。
Trang 12本論 第一章 日本語における慣用句
1.1.慣用句についての概念
慣用句という用語は一般に広く使われているが、どのようなものを慣用句と呼ぶか、日本語とベトナム語にいおける一般の辞書や専門辞典や言語研究を通して、以下に慣用句の概念を示しておく。
1.1.1.日本語における慣用句の概念
慣用句とは『大辞林』(1988:564)によれば、次のようなものである。
①二語以上が結合し、その全体が一つの意味を表すようになって固定したもの。「道草を食う」「耳にたこができる」の類。慣用語。イディオム。
②二語以上が、きまった結びつきしかしない表現。「間髪を入れず」「悦に入る」の類。慣用句。イディオム。
『新明解国語辞典第五版』(1997:303)において、慣用句は「二つ以上の単語が連結した結果、それぞれの語に分解しては出てこない、別な意味を全体として表すもの」と説明されている。
『日本語教育辞典』(1982:310)では、慣用句を次のように指定している。
慣用句とは、連語や文の形で常に一定の形式で用いられ、それ全体で特定の意味を表すものである。例えば、「泡を食う」(驚きあわてる意)、「顔が広い」(交際の範囲が広く、知り合いが多い意)などを言う。慣用句には(1)単語の表す本来の意味と直接関係づけられないもの(どじをふむ・ねこをかぶるなど)と(2)単語の本来の意味を比喩的に用いたもの(骨が折れる・鼻が高いなど)とがある。
慣用句は一まとまりのものとして、それを構成している単語同士の結びが強く、一般に、構成要素の間に別の語を入れることはできない。例えば、「全く骨が折れる」のように用い、「骨が全く折れる」とは言えない。「道草を食う」
「服が立つ」を丁寧に言う場合でも、「道草を食べる」「おなかが立つ」などと言いかえることができないものも、一単位としてのまとまりの強さを表している。
『語彙教育-その内容と文法』(1964:185)では慣用句を次のように説明している。
いくつかの単語がいつもかたく結びついてつかわれて、特別の意味を表すことがある。
はながたかい(「とくいだ」「自慢だ」の意味)
Trang 13きもをつぶす(「おどろく」の意味)
これらは、単語の組み合わせの表す本来の意味と違った意味を表している。また、
益岡隆志・田窪行則(1992:178)は「いくつかの語からなる句で、語の結びつきが固定し、句全体の表す意味が特殊化したものを慣用句」と定義している。また、「慣用句においては、それを構成する語の意味が句全体の意味に直接には反映されない。」と指摘している。
秋元美晴(2002:122)は「二つ以上の単語の結語が固定していて、全体の意味が構成語の意味の総和からは出てこない特別の意味を表すものを慣用句という。慣用句は句全体で一つの意味を表す。慣用句を語結合と連語から分ける最大の条件は、比喩生による。」と述べている。
宮地裕(1982:238)は「語の二つ以上の連結体であって、その結びつきが比較的固く、全体で決まった意味を持つ言葉」であると定義し、慣用句を下記のように分類している。「慣用句」は「連語成句的慣用句」と「比喩的慣用句」から成り、「比喩的慣用句」はさらに「直喩的慣用句」と「隠喩的慣用句」に分けられる。それぞれの分類に相当する用例は下記の通りである。
(1)連語成句的慣用句:手を染める、苦になる、電話をかける
(2)比喩的慣用句
直喩的:赤子の手をひねるよう、水を打ったよう 隠喩的:羽をのばす、兜をぬぐ、烙印を押す 宮地裕(1982)では、一般の連語句より結合度が高いものを「連語成句的慣用句」と言い、比喩表現の中で「~のよう」、「~の思い」などを伴っているものを「直喩的慣用句」、語句の意味が派生的・象徴的で、全体として比喩的な意味を示すものを「隠喩的慣用句」としている。
籾山洋介(1997:30)は、「複数の語の連結使用が固定しており、全体の意味は、個々の構成語がその連結の一部でない時に持つ意味の総和からは導き出せないもの」と指摘している。
Trang 14籾山は、表現全体の意味が構成語の意味の総和から導き出せない場合のみ慣用表現と指摘し、構成語の一部のみが字義的でないものは慣用表現に含めていない。
この点に関して、宮地では「目が高い」は、それぞれに「鑑識力」「厳しい試練」という転義であるだけで、構成語の意味の総和として句全体の意味が理解可能であり、慣用表現であるよりもむしろ連語の部類に属すると指摘している。
以上から、「日本語の慣用句は2 語以上から成り、構成要素の総和により全体的に一つの意味を表し、構成語個々の意味から予想しにくい表現である」のようにまとめられる。また、慣用句の特徴は固定性と比喩性であると考えられる。
1.1.2.ベトナム語における慣用句の概念
ベトナム語は日本語と同様に、慣用句を豊富に持つ言語である。ベトナム語の慣用句もベトナム人の生活に親しみ、日常の会話や文章よく使われている。
慣用句の概念については参考として、以下のように専門辞典や言語研究があげられる。
慣用句とは Nguyễn Lân (2014)の “Từ điển thành ngữ và tục ngữ Việt Nam”
(『ベトナム語の慣用句と諺』)では「一つの意味を表すのに使用される固定的な句である。」と定義されている。
Hoàng Văn Hành (2008) は『ベトナム語の慣用句論』(“Thành ngữ học Việt Nam” )で、「慣用句は比喩的意味を表す特別な総和語である。」と述べて
Nguyễn Thiện Giáp (2008)の”Giáo trình ngôn ngữ học”(『言語学教材』)によれば、「慣用句は構文およびセマンティクス構造において、その語句にのみ存在する特殊な属性を持つ語句である。 言い換えれば、その意味がそれを構成する言葉の意味から構成されていない固定語句である。」と指定されている。
その他にも、慣用句の定義は種々存在するが、すべての研究者は「慣用句」という呼び方を用いており、つぎの三点に慣用句の概念は集約されているといえるのである。
Trang 15諺は、観察と経験そして知識の共有によって、長い時間をかけて形成されたものである。その多くは簡潔で覚えやすく、言い得て妙であり、ある一面の真実を鋭く言い当てている。そのため、詳細な説明の代わりとして、あるいは、説明や主張に説得力を持たせる効果的手段として用いられることが多い。
慣用句と重なる部分もあるが、一般の文の中でその一部として用いられるものを慣用句といい、文の形をとるか、または簡潔ながら文に相当する意味を表すものをことわざというのが普通である。
諺の基本構造が「A は B」「A の B」「A より B」といった偶数構造であることは、多くの研究者によって指摘されている。偶数構造を持つことわざに共通する点は 2 つあり、ひとつは、2 つのものを対照させて提示することで、お互いを際立たせるレトリックとして機能するとともに、物事を弁証法的に見る点にある。もうひとつは、極限まで切り詰めた表現であることわざは、拠って立つ論理すら省略されている点にある。
諺が諺として機能するには尐なくとも 1 つの主題と 1 つの变述を備えていなければならないと述べた。たとえば「紺屋の白袴」の場合、紺屋が主題で白袴が变述である。1 組の主題と变述で命題を構成する必要があるため、1 語文のことわざは論理的に成立しえない。
慣用句とは、二語以上の単語が固く結びつき、全く異なる意味を持つものを指し、言語学的にはイディオムと呼ばれる。慣用句は、会話や文章上で定型句として用いられる。
慣用句と諺は混同されやすく、分類も困難であるため、諺と慣用句双方を掲載した辞典が多い。厳密には、諺は一つの文で独立語として成立し、格言、教訓や皮肉、物事の法則を含ませているものである。そして品詞では名詞に区分される。
対して、慣用句とは独立した単語の複合により、異なった意味を持つようになった定型句であり、それらは通常、独立語、すなわち名詞として扱わない。たとえば、「舌の根の乾かぬうちに」という慣用句は、「舌(名詞)」+「の(助詞)」+「根(名詞)」+「の(助詞)」+「乾か(動詞の未然形)」+「ぬ(助
Trang 16動詞)」+「うち(名詞)」+「に(助詞)」で構成され、それぞれ異なる意味を持つ。それに対し、「舌の根の乾かぬうちに」で“先ほど口にした直後に”という意味を持つ慣用表現となり、この言葉の後には決まって前の文脈を否定する表現が来る。「足が出る」など動詞、形容詞、形容動詞を述語とする場合は会話や文章の状況に忚じて活用することがある(ただし、「足下から鳥が発つ」などのように動詞で終わっても諺として分類されるものがある)。また、慣用句は諺のように教訓や格言として機能するものではなく、あくまで日常の行動や物事の状態などを面白おかしく表現したりしたものである。
すなわち、慣用句は一種の比喩(暗喩)表現でもあり、それらの意味は固定化している。したがって、正しく意味を理解しないと、頓珍漢な使用をしてしまったり、使用した相手に対して間違った忚答をしてしまったりすることがある。
1.2.2.慣用句と連語
斉藤純男(2010:124)は連語と慣用句について、次のように区別している。 二つ以上の語の結びつきが固定している「計画を立てる」、「服を立てる」といった表現がある。同じように見えるが、前者は個々の語の意味が分かれば全体の意味も理解できるが、後者はそうではない。前者のものようなものを連語、後者のようなものを慣用句という。連語より慣用句のほうが語と語の結びつきがつよいので、間に他の語を挿入して「計画をきのう立てた」のようには言えても「服をきのうたてた」とは言えない。
連語の中には「電話をかける/電話を入れる/電話をする」や「うそをつく/うそ言う」のように動詞を他の動詞に交替することができるものがあるが、これをゆるい連語という。また、「風邪をひく」「かさをさす」のように二語の結びつきが固定的なものは硬い連語と言われる。
Trang 17熟語は二つまたはそれ以上の単語が合わさって、一つの単語として用いられるようになったものだから、時には複合語、合成語だという場合もある。それに慣用によって、特定の意味に用いられるようになった語句の場合もある。その故に場合によって熟語は慣用句と同等する。
1.3.日本語における慣用句の分類
慣用句について論ずるとき、その分類に関する様々な基準が考えられる。例えば、文法的形態による分類、意味分野による分類、身体語彙による分類、動物名による分類などがある。本稿では品詞別の特徴、意味的な特徴、形式上の特徴に基づいて、三つの分類に分けられる。
1.3.1.品詞別の特徴に基づいての分類
品詞別によって慣用句は動詞慣用句、形容詞慣用句と名詞慣用句の三つの種類に分けられている。
動詞慣用句
これは名詞と動詞からなる慣用句である。形の上で二つ以上の単語の結びついているが、意味的な個々の語に分解することができず、全体としては一つの成分と同じ資格を持っているところに動詞慣用句の特徴がある。つまり、動詞慣用句は一語の動詞と同じ一つの概念を表すにすぎない。例としては「顔がきく」
「お茶を濁す」「頭に来る」「鼻であしらう」など。
形容詞慣用句
名詞と形容詞からなるものは形容詞慣用句であり、名詞と形容動詞もこれに含む。いずれも形容詞が句の中心になっている慣用句である。例としては「口が軽い」「目がない」「手が早い」など。
名詞慣用句
二つの名詞からなる慣用句である。各言語では名詞は大切な役割を持っており、様々な働きをする。例としては「猫の額」「寝耳に水」「瓜二つ」など。
このほかにも「泣いても笑っても」のような福祉慣用句などがあるが、もっとも多く用いられる慣用句は名詞と動詞からなる動詞慣用句である。中でも、
Trang 181.3.3.意味に基づいての分類
日本語における慣用句の意味は個々の語が単独で使われる場合の意味がわかっていても、その慣用句の意味が分からないことがある。慣用句の表す意味と、それを構成する単語の本来の意味との関係に基づいて、慣用句を以下のような3種類に分けられる。
慣用句を構成している2つ以上のそれぞれの語の意味が不明だったり、構成語の一部が慣用句以外では用いられなかったりする場合。例としては、「くだを巻く」「うだつがあがらない」などがある。
ある程度構成語の意味から慣用句の意味が予測できる場合。例としては、
「手を出す」「頭をかかえる」「頭に泤を塗る」などがあるが、これらは句全体のもともとの意味の比喩性の程度によるものである。
それに文字通りの意味と慣用句としての意味が共存している場合。例としては、「足を洗う」「手を切る」などが挙げられる。
1.4.日本語における慣用句の特徴的意味
日本語の慣用句の意味という側面から見ると、ほとんどの日本の研究者は日本語の慣用句の比喩性を強調している。更に日本語の慣用句を他の言語単位から分ける最大の条件は、意味の比喩製によるということが考えられる。そのため、比喩性は日本語における慣用句の特徴的意味であると言われている。
比喩とは、物事を表現するときに他の物事に例えて表現することである。例えば、クラブで何かをしようとするとき、いつも反対したりして、その計画を中止に追い込む人物がいると、よく「あいつはこのクラブの癖だ」という。この文で「癖」が比喩として用いられている。「癖」はもともと「悪性の腫瘍」という意味であるが、それが上の文のように「機構、組織などの中にあって、大きな障害となっているもの」という意味で用いられている場合は、もともとの意味で
Trang 19ある原義が拡大されて、使用されているわけである。これを比喩的意味と言い、原義からの連想や類推によって生み出される。
比喩は談話や文章の理解や効果的な会話の産出、高度的な書き言葉の産出と深い関係がある一方で、表現を具体的にするレトリックとして重要な役割を果たしている。日本語にも比喩表現が数多く存在する。その出現の頻度は高く、新聞や雑誌、放送番組やテレビ番組つまり、話し言葉においても書き言葉においても幅広く使われている。日本語の特性と密接な関係を持つ比喩の一種に慣用句がある。
比喩表現は、日本語研究者によると次のように分類されている。
①二つのものや現象の類似性に即して、比喩現象は三つに類別されている。
直喩
直喩法とは「例えば」「のような」「のほど」などの語を用いて、例えるものと例えられるものを、直接比較して示す手法である。この場合、例えるものと例えられるものとは、明確に表されている。
例)彼は恋の奴隷のようなものだ。(例えられるもの:恋の奴隷、例えられるもの:彼、比較表現:ような)
隠喩
隠喩法とは例えを用いながら、表面的にはその形式語(「如し」)「ような」等)を用いない手法である。例えるものと例えられるものとが、内的・外的属性の類似性によって同一化される。
例)彼は恋の奴隷だ。(例えられるもの:彼、比較表現:なし)
諷喩
諷喩法とは、故意に本義を隠して、喩えのみを揚げ、喩えを通じて本義を推察させる手法である。
例)恋の奴隷(愛情に心を奪われ、恋のため我を見失ってしまう人)
②直喩・隠喩・諷喩が類似に基づく面から分類した比喩形式であるのに対して、近接的な関係に基づく面からの分類に提喩と換喩がある。
提喩
提喩は、全体で部分を表したり、部分で全体を現す方法である。「お花見」の「花」が「桜」の意を示すのがこの例である。
Trang 20用いると、表現したい事柄を、具体的なイメージを伴って、生き生きと描き出すことができる。
1.5.本章のまとめ
以上に、日本語における慣用句の概要について述べた。
①慣用句の概念に関しては、日本語とベトナム語の共通点をもつことがわかた。下記のようにまとめられる。
二つ以上の語から成るが、文節以上の構成である
基本的に、定型的な形式構成を持つ
表現全体で示す意味としては一語であるが、統語上ではいくつかの構成要素から成る
表現全体で一つのまとまった意味を表すものであり、構成語彙の個々の意味からは想定しにくい
語彙・統語的に分析不可能な点、比喩的な意味が多い
②日本語における慣用句と同様形容との分別については、慣用句と諺、慣用句と連語、慣用句と熟語における特徴を分析し、これらの同異点は次のとおりに取あげられる。
諺は、古くから言いならわされてきた言葉であり、人生の真実の一面や処世上の知恵や教訓を示してくれるものである。諺は的確に使用し、理解することにより、表現に豊かな潤いを与え、話し手と聞き手、書き手と読み手の心を通わせる効果がある。
慣用句は、二つ以上の単語がきまった結びつきをしており、それぞれ単語の意味をつなぎあわせても理解できない別の意味を表す言葉である。慣用句は、個々の単語から連想されるイメージを巧みに生かしているものが多く、同じ内容を他の言葉で表すよりも受け手に強い印象を与えることができる。
諺と違って、慣用句が統語的に分析不可能とされていることは、慣用句が固定された表現である概念に有効であろう。しかし、その固定化を成す各要素の役割は軽視されており、その分析は欠かせないものであると考える。
慣用句と諺の分別は、日本語もベトナム語も混同されているように思われる。形式と意味から見ると、慣用句と諺のの特徴について下記のように記述している。
Trang 21また熟語には慣用句以上に幅広い意味を持っており、熟練された言葉だけではなく、漢字だけの組み合わせの言葉をさし、四文字熟語、二字熟語などの場合に使われているという説もある。
連語と慣用句については、品詞的分類からみると、慣用句と連語には大体似ている種類があるが、慣用句は連語より固定度が高いものであり、全体の意味が構成語の意味の総和からは出てこない特別の意味を表す一方、連語は全体の意味が個々の構成要素から理解できるものである。
③上述のように、日本語における慣用句の意味という側面から見ると、ほとんどの日本の研究者は日本語の慣用句の比喩性を強調している。更に日本語の慣用句を他の言語単位から分ける最大の条件は、意味の比喩製によるということが考えられる。そのため、比喩性は日本語における慣用句の意味の一般的特徴であると言われている。また、慣用句も比喩も、その全体の意味を得ることはできない点では同じ条件にあり、両者が関連づけられる。慣用句の多くは比喩などの修飾手法を使ってイメージを作り、そのイメージによって物事や道理を説明する。
つまり、慣用句は句全体の意味が構成語の総和からは出てこない特別な意味を表すものであり、句全体で比喩的意味を表しているともとれる。このように考えると慣用句と比喩は密接な関係があると言える。
Trang 22第二章 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察
2.1.数字についての概要
2.1.1.数字の概念
数字は古くから人間の生活のありとあらゆることに浸透し、我々人間と切ってみ切れない関係にあった。数字は計算するという基本的な機能のほか、多くの文化的な要素が与えられ、人間は単純な数字に豊かな色彩を持たせた。
文字がなかった時代から現在の電子計算機に至るまで、数字はその自然的な属性が発展を遂げると同時に、追加されるその他の属性:哲学、宗教、歴史、風俗習慣などが科学の発展及び社会の進歩とともに、内在する文化的要素も絶えず進展変化してきた。
言語記号としての数字は、違う文化地域及び社会において、異なる意味で使われ、形の上で同じように見える数字の背後には、異なる民族情緒と郷士の息吹が滲み出ており、豊富な文化的要素がある。
数字についての定義は『大辞林』(1988:1268)によれば、次のようなものである。
①数を表す文字。漢数字(一・二・三…)・アラビア数字(1・2・3…)・ローマ数字(I・II・III…)など。
②(金銭・予算・統計など)数字で表される事柄。数量的な事柄。
日本の数字は漢字やアラビア数字やローマ数字も使っている。
漢数字は数を表記するのに使われる漢字である。十進法の数詞および位取り記数法で用いる。漢数字には 0 から 9 を表す数字、10 の冪を表す位の字、それらを合わせた複合字がある。複合字は現在では一般的に使われていない。
「一(1)」はものの数を数える時の最初の数(に等しい値や順位)。例:一から十まで
Trang 23「二(2)」はものの個数を数える時の、一の次の、すなわち 1 に 1 を足して得る数(に等しい数や順位)。例:一も二もなく飛びつく
「三(3)」はものの個数を数える時の、二の次の、すなわち 2 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。
「四(4)」はものの個数を数える時の、三の次の、すなわち 3 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。例:四書五経・四方八方・再三再四・四通八達
「五(5)」はものの個数を数える時の、四の次の、すなわち4に1を足して得る数(に等しい値や順位)。例:五目並べ
「六(6)」はものの個数を数える時の、五の次の、すなわち 5 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。
「七(7)」はものの個数を数える時の、六の次の、すなわち 6 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。
「八(8)」はものの個数を数える時、七の次の、すなわち 7 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。
「九(9)」はものの個数を数える時の、八の次の、すなわち 8 に 1 足して得る数(に等しい値や順位)。陽の数の最上位。例:九牛の一毛
「十(10)」はものの個数を数える時の、九の次の、すなわち 9 に 1 を足して得る数(に等しい値や順位)。例:一を聞いて十を知る
2.1.2.日本語の慣用句における使われている数字
慣用句では動物や自然や植物や人の体や品物や色や数字などに関する言葉が使われている。
Ngô Minh Thủy (2012)は「日本語の慣用句と慣用句理論」で、語彙的観点から考察するとどの言葉であっても、語彙が自然界に属する要素と人間に属する要素とに大別されると述べている。
これらの語彙のグループは、更に別々の小グループに分類されるのだが、以下の慣用句がある。
Trang 24b) 人間の生活や考えを指す言葉をもつ慣用句。
c) 人間を指す言葉をもつ慣用句。
慣用句の構成要素が言葉であるからこそ、このように日本語慣用句は分類されるのである。そして構成要素の意味的観点から考察した、日本語慣用句の小グループの分配割合を次項の表 1.1 に整理しておく。
Trang 25また、Ngô Minh Thủy(2012:124-125)によれば、日本語の慣用句で使われている数字については「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、36、50、99、100、180、300、800、1.000、10.000」という自然数字と「半、両」という数量詞であると指摘されている。さらに、これらの数字は個々の数の意味をもっているが、慣用句の構成要素として使われた場合、ほとんど本来の意味を表さずに、「尐し、たくさん、多数…」のような一般的数量の意味を表すという特徴を取り出した。
2.2.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察
2.2.1.考察の目的
序論で述べたとおりに、日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を考察・分析しながら、統語的な構成要素を取り出す。そして、日本語の慣用句に反映する文化的背景を考察し、ベトナム語との比較を通し、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上げ、日本とベトナムの文化に関する同異点を明らめにする。そのために、本章では、 上記で挙げられた実数を以下のように考察する。
①これらの実数は日本語とベトナム語の慣用句において、どれぐらい使われているか、またそれぞれの出現頻度はどの程度か。
①井上宗雄(1992)『例解慣用句辞典』創拓社出版
②三省堂編集所(2010)『故事ことわざ・慣用句辞典第二版』三省堂
③Nguyễn Lân (2014),Từ điển thành ngữ vàtục ngữ Việt Nam, NXB Văn học
2.3.考察結果
2.3.1.日本語とベトナム語の慣用句で使われた数字
上記の①と③を考察文献とした辞典に基づき、日本語とベトナム語における数字を表す言葉を使った慣用句の数を統計し、合計で日本語は 199 の慣用句とベトナム語は 111 の慣用句となった。両言語において、使われた数字については以下の表に述べるものである。
Trang 26khoanh tứ đốm
khoanh tứ đốm
Trang 27万のような 14 の数字である。他に、日本語にない二つの数字がある。これらは二十一、三十となった。
2.3.2.日本語とベトナム語の慣用句における数字の出現頻度
2.3.2.1.日本語の一つの慣用句で使われた数字の数
考察した 199 の慣用句の中では、一つの慣用句における二つの数字を使っ
た 29 句を持っており、①同じ数字で、2 回出現した場合及び②別の数字を使った場合に分けられている。個々の場合は以下の表にまとめる。
一 二
一忚も二忚も 一も二もない 一石二鳥
Trang 28小 ― 大 と い
う ペ ア に した数字
順番に連続した数字は「一・二」「二・三」「四・五」「七・八」のようなパターンが挙げられる。
小―大というペアにした数字は八つのパターンを持っており、例としては「一か八か」、「三拝九拝」、「一を聞いて十を知る」「三つ子の魂百まで」などのようなものである。
大―小というペアにした数字は「二・一」「九・一」「十・一」「百・ 一」「千・一」の五つのパターンが挙げられ、「小」という数字は一番最初の数字で、「一」となった。例としては「十把一絡げ」、「千載一遇」など。
一方、ベトナム語では、一つの慣用句において使われた二つの数字の数は 多く、111 句を考察した結果によると、83 句となった。日本語と同様に、ベトナム語においても二つの場合に分けられるが、これらの場合により、個々のパターンが存在している。
①同じ数字で、2 回出現した場合:
日本語と比べると、ベトナム語のほうが多く、「 một/nhất(一)」「ba
(三)」「mười(十)」「trăm(百)」「thiên(千)」という五つのパターンがある。具体的な例と数については表 2.2.b.に述べる。
②別の数字を使った場合:
順番に連続した数字についてはベトナム語において、「một-hai(一・
Trang 29二)」「ba-bốn/tam-tứ(三・四)」「chín-mười(九・十)」のようなパターンが挙げられるが、他に連続した奇数の「một-ba(一・三)」「năm-bảy(五・七)」のパターンも存在している。
小―大・大―小というペアにした数字も出ているが、日本語より数多く、奇数がよく使われている。他に、もう一つの慣用句には三つ以上の数字を使ったパターンがある。具体的なパターンは以下の表 2.2.b.のように挙げる。
②別の数字を
使った場合
順 番 に 連 続した数字
連 続 し た 奇
数
小 ― 大 と い
う ペ ア に した数字
Trang 30う ペ ア に した数字
大 ― 小 と い
う ペ ア に した数字
「一(một/nhất)」「二(hai)」「三(ba/tam)」
日本語においてもベトナム語においても「一」「二」「三」という最初の三つの数字は多く、これらのうちで両言語の「一」は最も高く、日本語で 122 回、ベトナム語で 49 回となった。
「四(bốn/tứ)」「五(năm)」「六(sáu)」
「四」「五」を使った回数は日本語より、ベトナム語のほうが多く、ベトナム語の「四」は 7 回、「五」は 11 回となった。「六」は両言語でも僅かで、同じ回数であった。
「七(bảy)」「八(tám)」「九(chín)」
Trang 31上記の日本語の偶数の「八」は 9 回使われた反面、ベトナム語の「八」は
3 回出現された。一方、ベトナム語の奇数の「七」「九」は日本語より多かった。
「十(mười)」「百(trăm)」「千(nghìn/thiên)」「万(vạn)」
以下の表から見ると、ベトナム語の「十」「百」「千」「万」よく使われ、特に「千」は 17 回となった。
さらに、上記のような数字以外、尐なくとも一回しかないが、日本語では「十八」、「三十六」、「四十八」「六十」「七十五」、「八百」、ベトナム語では、
「hai mốt(二十一)」「ba mươi(三十)」「ba mươi sáu(三十六)」と言う数字も存在している。
Trang 322.4.1.日本語における数字を含む慣用句の品詞別
品詞性によると、慣用句は動詞慣用句、形容詞慣用句と名詞慣用句の三つの種類に分けられている。日本語における数字を含む199の慣用句を考察した通りに、これらの用例の基本的な構成の種類は次のような順番及び総数となったものである。
2.4.1.1.数字を含む名詞慣用句
数字を含む名詞慣用句はかなり多く、合計で99句である。これらの慣用句を分析し、下記の構成の種類を取り上げた。
①〔名詞〕+〔名詞〕
例としては「一期一会」は〔一期(名詞)〕と〔一会(名詞)〕、「一石二鳥」は〔一石(名詞)〕と〔二鳥(名詞)〕、「危機一髪」は〔危機(名詞)〕と〔一髪(名詞)〕などのような二語の構成を持つ慣用句が挙げられる。
そういう慣用句は四字成語とも呼ばれ、日本語における数字を含む名詞慣用句を考察した通りに、25句となった。他に、「一点張り」、「裸一貫」「八方破れ」などの〔名詞〕と〔名詞〕という構成で、9つの慣用句も存在している。
②〔名詞〕(格助詞)+〔名詞〕/〔名詞〕(格助詞)
②の構成を持つ名詞慣用句は数多く、56句も挙げられる。構成については、属格、与格、係助詞、奪格、共同格という格助詞用法が主に使われてる。具体的な用法は次のような例である。
〔名詞〕(主格)+〔名詞〕:「一事が万事」「役者が一枚上」
〔名詞〕(属格)+〔名詞〕:「一日の長」「三顧の礼」「六十の手習い」
〔名詞〕(与格)+〔名詞〕:「胸に一物」
〔名詞〕(係助詞)+〔名詞〕:「一寸先は闇」「百も承知」
Trang 33 〔名詞〕(奪格)+〔名詞〕:「二階から目薬」
〔名詞〕(共同格)+〔名詞〕:「欲と二人連れ」
これらの用法で最も多いのは〔名詞〕(の)と「名詞」となり、34句を統計した。また、日本語の名詞慣用句において〔連体修飾〕と〔名詞〕という構成もある。例えば、「十指の指す所」「十目の見る所」のような慣用句が挙げられる。
一方、ベトナム語における111の慣用句を考察したように、ほとんど名詞慣
ý(十人十意見)」「Nhất cử lưỡng tiện(一挙両得)」「Thiên binh vạn mã(千軍万馬)」などと言う四つの語以上からなった名詞慣用句である。
2.4.1.2.数字を含む動詞慣用句
数字を含む動詞慣用句は94句であり、その内に肯定形を使った75の動詞及び否定形を使った19の動詞が存在している。
動詞慣用句の構成は基本的に「名詞+格助詞+動詞」である。ここで取り扱う用例と分析は、上記の94句を考察し、「数字」が主語の動詞慣用句対象にし、形式に関する統語的な分析を示す表を作成した。動詞慣用句の構成については、以下のようにまとめられる。
胸が一杯になる
Trang 345 〔名詞〕(を)+〔名詞〕(に)+
目を三角にする、七重の膝を八重におる、軌を一にする
額に八の字を寄せる、九死に一生を得る
表を見ると、動詞慣用句における〔名詞(を)動詞〕という基本的な構成は一番多いと分かった。また、ほとんど動詞の末尾であり、文中で活用可能であるが、元々固定された活用形で使用される表現の末尾をそのままに示しておく。
Trang 35活用形が固定されている表現として、日本語においては「~ない」「~ず」などの否定形や、「~せる・~さ せる・~させない」の使役形が現れる。
他に、動詞の末尾活用により副詞形にするか、動詞に副詞を後続させる表現が見られる。このような場合、動作の程度(時間・空間)を示すものがほとんどである。
ベトナムごの動詞慣用句は日本語と比べると、数が尐なく、構成については二つの種類がある。
〔動詞〕+〔名詞〕:「Chỉ tay năm ngón(五つの指を指す)」「Chẻ sợi tóc làm tư(一髪を四つに分割する)」「Bắt cá hai tay(両手で釣りをする)」
〔名詞〕+〔動詞〕:「Hai tay buông xuôi(両手を下ろす)」「Ngàn cân treo sợi tóc(一髪千鈞を引く)」
2.4.1.3.数字を含む形容詞慣用句及びその他の慣用句
数字を含む形容詞慣用句については両言語ともあまり出ていない。基本的
(百苦千辛)」のような慣用句は〔名詞〕と〔形容詞〕という構成からなったものである。
このほかに「一昨日来い」「大山鳴動して鼠一匹」「盆と正月が一緒に来たよう」「なくて七癖あって四十八癖」という4つの福祉慣用句もある。
2.4.2.日本語における数字を表す言葉を使った形式上の慣用句
形式に基づいて、日本語の慣用句は比喩形式と否定形式とかさね形式という三つの種類に分けられる。日本語における数字を含む199の慣用句を考察したように、これらの慣用句に三つの種類もそんざいしている。
2.4.2.1.比喩形式の慣用句
第一章に述べたように、比喩形式の慣用句は主に直喩的慣用句と隠喩的慣用句に分けられる。直喩的慣用句では「よう」「思い」などの比喩指標が明示されるが、隠喩的慣用句では、比喩指標が明示されず、句の全体が比喩的な意味を表す。
統計した結果のように、日本語の数字を含む慣用句はほとんど隠喩的慣用句となった。慣用句において使われた数字は数の順番や実際の数量・値と言う意味を表さず、名詞や動詞との組み合わせに基づき、句の全体的な意味を持っている。また、独立した単語の複合により、異なった意味を持つようになった定型句であり、それらは通常、独立語、すなわち名詞や動詞として扱わない。
例えば、「二世の契り(lời hẹn ước sang thế giới bên kia)」の名詞慣用句は〔二世(名詞)〕と〔の(助詞)〕と〔契り(名詞)〕で構成され、別にするとそれぞれ異なる意味を持つ。「二世」は「現世と来世。この世とあの世」、
Trang 36「あの世までも連れ添おうという、夫婦の約束」という意味を持っている。比喩性は構成語の意味の総和として「二世の契り」という句全体の意味で用いられ、夫婦の気持ちを表す慣用表現となる。
もう一つの例として、「目を三角にする(làm cho mắt thành tam giác)」の動詞慣用句は三語の組み合わせで、「目」は「物を見る器官。人間では顔の中心をなし、二つある。」、「三角」は「三つの角があること。」、「する」は
「ある動作や行為を現出させる。」というそれぞれの意味を表すが、結びつけると、「怒る」という全体的に一つの意味を示す比喩的慣用句となる。
日本語と同様に、ベトナム語の数字を含む慣用句においてもほとんど比喩的な意味が用いられている。ベトナム語の比喩的慣用句については直喩的慣用
うに)」、「Tối như đêm ba mươi(三十日のように暗い)」などの慣用句では日本語と同じ「よう」の比喩指標が明示されるが、数は尐ない。それに反して、
のような慣用句は比喩指標が明示されず、句の全体が比喩的な意味を表すものがかなり存在している。
2.4.2.2.否定形式の慣用句
否定の形をとる慣用句は日本語では多く見られる。数字を含む否定形式の慣用句については上記のようにまとめた数は19の慣用句であり、「~ない」「~ず」の形式はよく使われている。
「~ない」の形式:「一文にもならない」「二の天が継げない」
「~ず」の形式:「雀百まで踊り忘れず」「三日にあげず」
他に「なし」の形式もあるが、「武士に二言なし」という慣用句しか挙げられない。
2.4.2.3.かさね形式の慣用句
類義語や関連語、対義語をならべたものなどによって意味が強調される慣用句はかさね形式の慣用句と呼ばれる。かさね形式をとる慣用句は日本語で多いと言える。考察したように、数字を含むかさね形式の慣用句において、〔名詞
(も)〕+〔名詞(も)〕という形式がよく用いられているが、他に、〔名詞
(か)〕+〔名詞(か)〕、〔名詞〕+(が)+〔名詞〕、〔名詞〕+〔動詞〕の形式も出ている。
〔名詞(も)〕+〔名詞(も)〕:「一忚も二忚も」「二進も三進も行かない」「鬼も十八番茶も出花」
〔名詞(か)〕+〔名詞(か)〕:「一か八か」
Trang 37 〔名詞〕+(が)+〔名詞〕:「一事が万事」
〔名詞〕+〔動詞〕:「二度あることは三度ある」
上記の例から見れば、「一忚も二忚も」の「忚」、「二進も三進も行かない」の「進」、「一事が万事」の「事」などの同じ語が二回重ね、数字を結びつけると、「一忚も二忚も」は「十分念入りに」、「二進も三進も行かない」は
「窮地に立たされてどうにも身動きがとれず、困り果てる様子」、「一事が万事」は「一つのことから他の何もかもが判断できるということ」という意味を表す。
ベトナム語におけるかさね形式の慣用句もあるが、ほとんど類義語からな
bảy thiếp(五妻七房)」、③「Thiên niên vạn đại(千年万代)」などが挙げらるる。
構成要素の意味的観点から見ると、日本語の慣用句は『例解慣用句辞典』において、五つのグループに分けられている。